おちょぼ稲荷、名前は聞いたことがあるけれど、まだ行ったことがない——という方、もったいないです。
岐阜県海津市にある千代保稲荷神社(通称・おちょぼ稲荷)は、年間200万人が訪れる東海地方の有名スポット。でも「有名な神社でしょ?」くらいのイメージで行くと、びっくりします。
鳥居をくぐった瞬間に、串カツの香りが漂ってくる。赤提灯がずらっと並んで、昔ながらの看板が続く。地元のおじさんおばさんが立ち食いしている横で、草餅と漬物を売っているお店が並んでいる。
「あ、これは昭和だ」と思わず声が出ます。
参拝ももちろんいいんですが、おちょぼ稲荷の本当の面白さは、この門前町の空気感にあると思っています。懐かしくて、にぎやかで、どこかほっとする場所。ぜひ一度、歩いてみてください!
おちょぼ稲荷ってどんな場所?

おちょぼ稲荷の正式名称は「千代保稲荷神社」。平安時代後期の武将・源義家の6男・義隆が、先祖の御霊を「千代に保て」という願いを込めて創建したと伝えられています。
ご利益は商売繁盛と家内安全。特に商売繁盛の神様として知られていて、地元の商売人やビジネスマンが参拝に訪れます。
参拝のお供えは「おあげ」とろうそくのセット。この手軽さも、地域に根付いてきた理由のひとつかもしれません。
月末夜祭が人気

おちょぼ稲荷といえば、月末から1日にかけての「月越(つきこし)参り」が有名です。
今月のお礼と来月のお願いをするために、夜通し参拝者が訪れます。
拝殿前にちょうちんの灯りが揺れて、参道のお店が深夜2時頃まで営業する。通常17時には閉まるお店が夜中まで続く光景は、まるで初詣のような賑わいです。
おちょぼ稲荷の夜を体験したいなら、月末がおすすめです。
門前町文化が残っている
東口大鳥居から南口大鳥居まで約700m、120軒ほどのお店が連なる参道商店街。
川魚料理・漬物・串カツ・草餅・みたらし団子・大学芋……今どきのおしゃれなグルメではなく、昔ながらの”門前町の食べ物“が並んでいます。
観光地化されたショッピングモールとはまったく違う、生活に根ざした雑多な空気。これが、おちょぼ稲荷の一番の魅力だと思っています。
おちょぼ稲荷の食べ歩きが楽しい
おちょぼ稲荷の参道では、食べ歩きが楽しみの一つ、というか、これが目的って感じです。
串カツは外せない

おちょぼ稲荷に来たら、串カツは絶対に食べてほしいです。
参道で一番有名な「串カツ玉屋」は、揚げたてのアツアツを店先でその場で食べるスタイル。1本130円で、味噌かソースを選べます。
一緒に頼みたいのがドテ(ホルモン肉の味噌煮)。甘い味噌がしみ込んでとろとろで、これが本当においしい。
衣がサクサクで油っこさがない。串の本数でお会計なので、1本からでもOK。昼ごはんの後でも、小腹が空いたときでも、気軽に食べられるのがいいんです。

ちなみに玉屋さん、内装がゴージャスな金ぴかで、トイレまでキンキラキンなんです。この振り切り方も昭和っぽくて好き。
参道には玉屋のほか、昭和49年創業の「よこい」、味噌が自慢の「京や」、紅ショウガやレンコンの串揚げも食べられる「てっ平」など串カツ屋が複数あって、食べ比べも楽しいですよ。
草餅や漬物も楽しい

串カツの次においしかったのが、草餅と漬物です。
草餅はヨモギたっぷりの手作りで、甘さ控えめのつぶあんとの相性が抜群。これ、若者向けのスイーツではなく、完全に大人の味です。夕方には売り切れることもあるので、早めに買うのがおすすめ。
漬物は「まるじゅう田中漬物本店」が有名で、えだまめの鞘ごとだし漬け、山芋の梅酢漬け、かぼちゃの浅漬けなど、ちょっと変わった種類が並んでいます。
お土産にも最適ですが、要冷蔵なのでクーラーバッグがあると便利です。
串カツ・草餅・漬物という組み合わせ、渋いですよね~。でもこの渋さが、おちょぼ稲荷らしくて好きです。
昔ながらのお店を眺めながら歩くのが面白い
正直に言うと、おちょぼ稲荷の食べ歩きは「何を食べるか」よりも「歩いているだけで楽しい」が正解だと思っています。
みたらし団子を炭火で焼く「山田屋」、外カリカリ中ホクホクの大学芋「芋にいちゃんの店」、ふわふわ生地のたい焼き「佐溝屋(さみぞや)」……食べ歩きの定番が、昔ながらの店構えでずらっと続く。
立ち止まって、眺めて、香りに引き寄せられて、気づいたら何か買っている。そういう散歩の仕方が、おちょぼ稲荷には合っています。
実際に歩いて感じた”昭和レトロ感”

おちょぼ稲荷の参道に入った瞬間、時代が変わります。
赤い提灯が並んでいて、色あせた看板が続いていて、道の両側からお店の人の声が飛んでくる。昔ながらの雑貨屋さんや縁起物のお店が混在して、整然としていない雑多な感じがある。
「観光地」というより、「昔からここにあった場所」という空気です。
平日の昼間は、地元のおばあちゃんが静かに参拝していたり、常連らしき人がお店の人と話していたり。観光客向けに作られた感じがしない。それが逆に、ここの良さだと思います。
特に夜がすごいです。提灯の灯りが参道に広がって、串カツの煙と匂いが漂って、人の声と笑い声が混ざり合う。
月末の夜祭の日は、この雰囲気がさらに増して、「昭和の縁日ってこういう感じだったのかも」と思わずにいられません。
50代になってから、こういう「作られていない場所」が好きになってきました。おちょぼ稲荷は、まさにそういう場所です。
おちょぼ稲荷の所要時間はどれくらい?

- 参拝だけさらっとなら、30分ほど
- 食べ歩きしながらゆっくり歩くなら、1〜2時間
- 月末夜祭の日に昼から夜まで楽しむなら、半日以上
参道は約700mなので、歩くだけなら20分もあれば端から端まで行けます。でもお店を覗きながら、食べながら歩くと、あっという間に時間が過ぎます。
月末の夜祭は特に、「気づいたら2時間経ってた」ということになりがちです。
いつ行くのがおすすめ?

おちょぼ稲荷はいつ行っても、その時その時の雰囲気があります。平日の昼間は、日によってはちょっと閑散としてるかも。
昼に行く
明るい時間帯は、参道の全体像がよく見えます。お店の品物も見やすく、人も比較的落ち着いているので、ゆっくり食べ歩きしたい方には昼がおすすめ。
草餅など売り切れやすいものは、昼のうちに買っておくのが安心です。
月末夜祭に行く
月末から1日にかけての「月越参り」は、おちょぼ稲荷が一番おちょぼ稲荷らしくなる時間です。深夜2時頃まで賑わって、提灯の光と串カツの煙と人の声が混ざり合う。一度は体験してほしい夜です。
ただし月末は駐車場が混雑します。18時以降は有料駐車場の方がスムーズに停められることが多いです。
住所:岐阜県海津市平田町三郷1980
おちょぼ稲荷のアクセスと駐車場
電車・バスの場合
名鉄名古屋駅から新岐阜行きに乗り「笠松駅」で新羽島行きに乗り換えて「新羽島駅」下車。
または東海道新幹線「岐阜羽島駅」下車。そこから海津市コミュニティバス「海津羽島線」で約20分、「お千代保稲荷」で下車して東へ徒歩2分。
車の場合
無料駐車場は大尻無料駐車場(南口大鳥居近く)と参拝者無料駐車場(海津市総合観光案内所横)があります。月末18時以降は混雑するので、有料駐車場が便利です。
南口鳥居南側など、周辺に有料駐車場が複数あります。
おちょぼ稲荷まとめ
おちょぼ稲荷、行く前は「商売繁盛で有名な神社」だと思っていました。
でも実際に行くと、参拝よりも門前町の空気に引き込まれてしまった。串カツの香り、赤提灯の灯り、昔ながらの看板、地元の人たちの声。どこを切り取っても昭和で、懐かしくて、なんかほっとする。
おちょぼ稲荷は、参拝地というより昭和の空気を味わいに行く場所だったんです。
「有名な神社だから行ってみよう」という気持ちで行って、思いがけず門前町の雑多な魅力にはまってしまう——そんな場所が、まだ東海にはあったんだな、と思わず嬉しくなりました。
※情報が変更されている場合もありますので、ご利用の際は必ず現地の表記をご確認くださいね。
