三重県鈴鹿市にある椿大社(つばきおおやしろ)に行ってきました。
紀元前3年に社殿が造営されたという、日本最古の神社のひとつ。猿田彦大神を祀る伊勢国一の宮として知られていますが、有名な割に「どんなところ?」というイメージが湧きにくい神社でもあります。
実際に行って一番印象に残ったのは、境内を歩く時間でした。
樹齢数百年のヒノキや杉の木が立ち並ぶ参道を歩いていると、日常から切り離されていく感覚があって、「ここに来てよかった」と自然に思えた場所です。
今回はお祓いも受けてきたので、その体験も含めてご紹介します。
椿大社とはどんな神社?

椿大社の御祭神は猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)。穢れを清め、正しい方向へ導く神様として知られています。
「みちひらき」の神様とも呼ばれていて、新しいことを始める時・人生の岐路に立つ時・厄払いを受けたい時に参拝する方が多い神社です。
伊勢国一の宮として格式も高く、全国から参拝者が訪れます。
椿大社の魅力は、境内に入った瞬間から始まります。
大きな鳥居をくぐると、両側に樹齢数百年の木々が立ち並ぶ参道が続きます。車の音も、日常の雑音も遠のいて、葉が揺れる音と自分の足音だけが聞こえてくる感覚。
「空気が変わった」というのが、ここへ来た時の第一印象でした。
実際に歩いて感じた境内の空気

参道を歩きながら、「これだけの木が、これだけの時間ここにあったのか」と思わずにいられませんでした。
神社の歴史が紀元前3年からというのは知識として知っていても、実感はなかなか湧かないものです。でも、境内の大きな木の前に立つと、「自分がとても小さな存在だな」という感覚がじわっと来ます。
歴史的な建造物を見て感じる感慨とは少し違う、自然の積み重ねが与えてくれる感覚です。
思ったより静かだった
境内は広く、参拝者も来ていますが、不思議と静かです。
木々が音を吸収しているのか、風が通るからなのか——とにかく、歩いているだけで気持ちが落ち着いてくる場所です。日常の忙しさやモヤモヤが、少しずつ薄まっていく感じがありました。
長居したくなる雰囲気
椿大社は「参拝して帰る」より「境内をゆっくり歩き回りたい」場所です。
あちこちにカエルの置物が隠れていて(椿大社の主神・猿田彦大神のお使いがカエルで、「よみがえる→カエル」という神話に由来するそうです)、それを探しながら歩くだけでも楽しい。
手水舎もカエルだったりして、気づくたびに「いたいた」という気分になります。
椿大社で見たい見どころ

椿大社の本殿・拝殿はどっしりとした風格があります。
拝殿に向かう途中の参道には、恵比寿さまと大黒さまが一組でお祀りされています。商売繁盛・財運招福の神様として知られるこのお二方、通りすがりにもぜひお参りしていきたい場所です。
椿岸神社とかなえ滝

境内の別宮である椿岸神社は、猿田彦大神の妻神・天之鈿女命(てんのうずめのみこと)を祀る朱色の神殿です。縁結び・夫婦円満・芸能上達のご利益で、若い女性に人気があります。
天之鈿女命は、天照大神が岩戸に隠れて世界が暗闇に包まれた時に、岩戸の前で踊って天照大神を誘い出すことに成功した女神様。「踊り子の女神」として知られていて、神前結婚式もここで行われます。
椿岸神社の横にはかなえ滝があります。奥の金龍明神滝から流れてくる水で、良縁・恋愛成就を叶える滝として知られています。
万病に効くご神水とも言われていて、静かに流れる水の音を聞いているだけで心が落ち着きます。
松下幸之助社

パナソニック創設者・松下幸之助さんが祀られている社です。松下さんはたびたび椿大社を参拝されていたそうで、茶室と日本庭園も寄進されています。
茶室「鈴松庵」では伊勢茶のお抹茶と茶菓子をいただくことができます。
業績向上・立身出世・妙案着想のご利益があるとされていますが、「経営の神様と言われた人が何度も参拝した場所に自分も来ている」という事実が、なんか刺さります。
行満堂神霊殿

行満大神や鈴鹿七福神の寿老神などをお祀りする社で、靴を脱いで中に入れます。
中に入ると正直、「あれ、神社? お寺?」という感じになります。不動明王や仏像的な雰囲気があって、独特の空間です。
でも先に参拝していた方が二拝二拍手一拝でお参りしていたので、倣ってお参りしました。ここは「入ってみてほしい場所」のひとつです。
実際にお祓いを受けてみた

拝殿に向かって左手にご祈祷受付があります。靴を脱いで上がり、受付で住所・氏名・祈願内容を記入します。神職さんが祝詞で名前を読み上げるので、フリガナも忘れずに。
ご祈祷料は3,000円〜(お志)で、初宮詣・車のお祓いは5,000円〜です。受付後に色のついた札をいただき、色で呼び出しがあります。予約は不要です(受付時間8:00〜16:30)。
厄払いの所要時間
祓殿でのお祓い→外拝殿での祝詞奏上→巫女さんによる鈴祓いの神楽舞まで含めて、ご祈祷全体で20〜30分ほどでした。
その後、御神札・お守り・お清めの御砂・お神酒の入った紙袋をいただいて終わりです。
どんな雰囲気だった?
祓殿も外拝殿も畳です。神職さんによる大祓詞の奏上の後、参拝者の住所と名前が呼ばれます。「自分の名前が神様の前で読み上げられる」という体験は、初めてだと少し緊張します。
椿大社のご祈祷は最後に太鼓が鳴るのですが(多くの神社は始まりに鳴らしますが、ここでは終わりに鳴らします)、しかも独創的なリズムで——思わず「おっ」となりました。
冬に行く場合は、畳の上に座るだけでも腰が冷えるので、ひざ掛けの持参をおすすめします。
受けて感じたこと
ご祈祷の効果を断言することはできません。でも「静かな時間だった」「気持ちが切り替わった」という感覚は、はっきりありました。
日常の中で、自分のことだけを考えてゆっくり手を合わせる時間って、意外と少ないです。
神職さんの声、太鼓の音、巫女さんの舞——非日常の空間で20〜30分過ごすことで、「また頑張ろう」という気持ちに自然になっていた気がします。
ご利益は神様次第ですが、「気持ちをリセットする時間」としての価値は間違いなくあると思います。
※ご祈祷時間は8:30~17:00
椿大社の所要時間はどれくらい?

- 参拝だけさらっとなら、30〜40分ほど
- 椿岸神社・かなえ滝・松下幸之助社・行満堂神霊殿まで境内を散歩するなら、1時間ほど
- ご祈祷を受けて、境内をゆっくり歩くなら、1〜2時間
ご祈祷は予約不要ですが、前後に待ち時間が発生することがあります。時間に余裕を持って来るのがおすすめです。
アクセスは、名古屋から近鉄で四日市へ、そこからバスで約55分(1日7便)。車なら新名神「鈴鹿PA スマートIC」から約2分でアクセスできます。
参拝者用無料駐車場は約500台と広め。
「ちょっと遠いな」と思いますが、行ってみると「来た甲斐があった」と感じる場所です。
住所:三重県鈴鹿市山本町1871
参拝時間:5:00~18:00 (5月~10月は~19:00)
御朱印・授与所:17:00まで
椿大社の御朱印とお守り

御朱印は社務所で授けていただけます。
椿大社の御朱印帳で有名なのが、手塚治虫先生の火の鳥ヤマト編に描かれた「サルタヒコ」と「ウズメ」をデザインしたもの。
椿大社の御祭神そのものが描かれたオリジナルで、これは見たら欲しくなります。伊勢型紙で椿の花が彫られた上品な御朱印帳も人気です。
お守りで特別なのが「椿縁守(つばきえにしまもり)」。境内の御神木の椿の種を採取して作られた特別なお守りで、毎月1日・11日・21日の参拝者のみに頒布されます(郵送不可)。
縁日にタイミングよく来られた方はぜひ。
椿大社まとめ
椿大社は、「お願いごとをする場所」というより、自然の中で少し立ち止まる場所でした。
樹齢数百年の木々の中を歩く時間、神職さんの声の中でゆっくり手を合わせる時間——「日常から少し離れて、自分を整える場所」という言葉が一番近い気がします。
名古屋から少し足を延ばす価値がある神社です。ぜひ参道をゆっくり歩いてみてくださいね。
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