岐阜県可児市に、明智光秀ゆかりの山城跡があります。
派手な観光地ではありません。整備されたお土産屋さんもなければ、きれいな天守もない。あるのは、静かな山道と、城跡の地形と、ちょっとした石碑くらい。
でも歴史好きとして言わせてもらうと、それがいいんです。
木々の間を抜けながら本丸跡に立ったとき、「光秀はここにいたのか」とじわじわ来るものがある。観光地化されていない分だけ、歴史がそのままの温度で伝わってくる感じがします。
にぎやかすぎる観光地に少し疲れてきた方、静かな山城散歩に興味がある方、明智光秀が好きな方——ぜひこの記事を読んでから行ってみてくださいね。
明智城跡とは?

明智城(別名・長山城)は、岐阜県可児市瀬田長山にあった山城です。
光秀の叔父・光安が城主を務めたこの城で、光秀は若き日を過ごしたと伝わっています。
光秀の前半生はわかっていないことが多いのですが、明智荘(現在の可児市周辺)で生まれ育ったという記録が残っており、この城がその拠点だったと考えられています。
そして1556年、この城で悲劇が起きます。
斎藤道三が嫡男・義龍との戦いに敗れて死去(長良川の戦い)。道三と縁戚関係にあった明智一族は、その後、義龍から攻撃を受けます。
800人ほどで籠城するものの、明智城は落城。光安ら一族は自刃し、明智一族のほとんどが滅んでしまいます。
光秀だけが「明智家再興」を託されて落ち延びた——そんな悲しい歴史が、この静かな山に眠っています。
山城としての特徴
明智城は、自然の地形をそのまま活かした典型的な山城です。本丸の標高は175m。
切り立った崖や急な坂を防御に利用する、天守を持たない戦国時代らしい造りで、「守るための城」として機能していました。
こういう山城、天守のある城とはまた違う面白さがあるんですよね。地形そのものが城になっているので、歩きながら「なるほど、ここを防衛ラインにしたのか」と頭の中で城が見えてくる感じがします。
なぜ今、注目されているの?
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(2020年)で明智光秀が主人公になったことで、可児市や明智城跡への注目が一気に高まりました。
とはいえここは、ドラマブームが過ぎた今でも、静かに歴史好きが訪れ続けている場所。「大河ドラマの聖地」というより、「本物の歴史の痕跡が残る山城」として、足を運ぶ価値があります。
明智城跡を実際に歩いてみた

明智城址を実際に歩いてみました。
山道はきつい? 50代でも歩ける?
結論から言うと、ゆっくり歩けば50代でも十分歩けます。 ただし「軽いハイキング」くらいの気持ちで来た方がいいです。
桔梗坂から本丸まで、石畳の坂道を10分ほど登ります。急な箇所もありますが、道自体は整備されているので、焦らずゆっくり登れば問題ありません。
「ちょっときついな」と感じたら立ち止まって深呼吸。木々の間から差し込む光を見ながら一息つくのも、山城散歩の醍醐味です。
展望台からの下り道は、整備されたルートがあって、以前よりだいぶ歩きやすくなっています。ただし雨上がりは足元が滑りやすくなるので、特に下りは注意してください。
靴と服装は?
スニーカーは必須です。 ヒールはもちろん、サンダルも厳禁。底がしっかりしたウォーキングシューズかトレッキングシューズがおすすめ。
夏場は虫が多いので、虫除けスプレーがあると安心です。草が茂っている時期は、長ズボンの方が快適です。日差しを遮る木が多いので真夏でも比較的涼しいですが、水分補給は忘れずに。
明智城跡の見どころ

明智城跡の見どころをご紹介します。
城跡らしい地形
明智城跡の一番の見どころは、天守でも復元建築でもなく、地形そのものだと思っています。
山の起伏をそのまま防御に活かした造り、尾根を使った動線、本丸跡の平らな台地——「なぜここに城を作ったのか」が歩いているうちにじわじわわかってきます。
派手さはないけれど、地形を読みながら歩くのが好きな人には、本当に面白い場所です。
土塁・曲輪
本丸周辺を歩いていると、土を盛り上げた壁(土塁)や、平らに削り出された区画(曲輪)の跡がちゃんと残っています。
専門知識がなくても大丈夫。「あ、ここだけ地面が平らになってる」「この盛り上がりが壁だったんだ」と、体で感じながら歩ける。それが山城散歩の楽しさです。
城跡に初めて来た方でも、説明板を読むよりまず足で確かめてほしい場所です。
七ツ塚と六親眷属幽魂塔

本丸には「七ツ塚」があります。明智城落城のとき、命を落とした7人の武将を祀った塚です。静かに手を合わせたくなる場所です。
展望台へ向かう下り道の途中には「六親眷属幽魂塔(ろくしんけんぞくゆうこんとう)」があります。
昭和48年に発見されたもので、地中から人骨や武具が見つかった供養塔。落城時の戦死者のものと考えられています。
これが地元の村人がひそかに建てたものだというのが、胸に刺さるんです。「明智一族の味方をした」とバレると処罰される時代に、わざわざ埋めて供養した。
それだけ明智城主が村人たちに慕われていた証拠ですよね。光秀が「いい統治者」だったのかもしれない、と思うと……歴史って本当に切ないです。
静かな森と展望ポイント

七ツ塚の先に展望台があります。そこから見渡せる風景が、かつての明智荘。今も田んぼが広がるのどかな景色です。
この場所、岐阜城から35kmも離れているんです。
「明日の朝(岐阜城へ)登城せよ」と言われたら、前日の陽の出てる時間に向かわないと間に合わない! 戦国時代のスケール感に、毎回びっくりします。
天龍寺

明智城のふもとにある天龍寺には、明智家代々のお墓があります。
本堂には、日本一大きな光秀の位牌(184cm)があり、毎年6月には供養祭が行われています。
所要時間はどれくらい?
- 城跡をさらっと見るだけなら、30〜40分
- 七ツ塚・展望台・供養塔までじっくり歩くなら、1時間ほど
- 花フェスタ記念公園の散策を合わせるなら、2〜3時間
- 周辺の歴史スポットとセットで回るなら、半日〜1日
体力に自信がない方は、無理せず本丸まで往復するだけでも十分満足できます。
展望台ルートはそこから少し足を延ばす形になるので、体調と相談しながら決めてくださいね。
周辺のおすすめスポット
明智城跡に行ったら寄りたい、周辺の観光スポットはこちら。
ぎふワールド・ローズガーデン(旧花フェスタ記念公園)
明智城跡のアクセス拠点になる岐阜県営の公園で、世界最大級のバラ園として知られています。特に春と秋のバラのシーズンは見事。青いバラなど珍しい品種も見られます。
歴史散歩+花の旅として一日たっぷり楽しめます。
住所:可児市瀬田1584-1
入園料:500~1,500円※季節(イベント)による
高校生以下無料
戦国山城ミュージアム(可児郷土歴史館)
可児市の戦国時代の歴史を展示する施設です。明智城跡を歩く前に立ち寄ると、「どういう城だったのか」の予習になります。
逆に歩いた後に「さっき見た地形はこういうことだったのか」と復習するのもおすすめ。
住所:岐阜県可児市兼山675-1
開館時間:9:00~16:30
入館料:210円 高校生以下無料
明智荘エリアの散策
明智城跡周辺は、かつて明智光秀が暮らした「明智荘」のエリアです。城跡を起点に、光秀ゆかりの地をのんびり巡る散歩もできます。
特別派手なスポットはありませんが、「この土地で光秀は育ったのか」と思いながら歩くと、風景の見え方が変わります。
明智城跡まとめ
明智城跡は、派手さのない山城です。
復元された天守もなく、立派な展示館もない。あるのは静かな山道と、地形に刻まれた歴史の痕跡と、落城で命を落とした人たちへの供養塔。
でも歩いてみると、不思議なくらい光秀が身近に感じられます。「ここで育って、ここで一族を失って、それでも再興を目指したのか」と。派手な観光地では味わえない、静かな感動がある場所です。
体力的に心配な方も、ゆっくり歩けば大丈夫。スニーカーを履いて、水を持って、時間に余裕を持って行ってみてください。
歩いた後の達成感と、じんわり来る歴史の重みは、ここでしか味わえないと思います。
