この記事では、東海市にある聚楽園大仏(しゅうらくえんだいぶつ)について、その魅力や歴史、そして見どころをたっぷりとご紹介します。
名鉄聚楽園駅の東側からは、こんもりした森の上に大仏さまの頭が見えるの、ご存じですか? 近くで見ると、その大きさに圧倒されます。
「なぜここに大仏が?」って思うくらい、奈良の大仏さまよりも大きい大仏さまが公園内に座っておられ、東海市のシンボルになっています。
(失礼かもしれませんが)大仏さまにイケメンという基準があるなら、聚楽園大仏さまは間違いなくイケメンです! ステキなお顔の大仏さまにうっとりしちゃいますよ。
東海市の聚楽園大仏は日本一の大きさ?
さて、ここで気になるのが聚楽園大仏の大きさ。実は、坐像(座っている姿)の大仏としては、日本で4番目の大きさなんです。具体的な数字を見てみましょう。
【1位】千葉県鋸山(のこぎりやま)の日本寺大仏:31m
1783年に岩山に彫刻された大仏さまが原型。長年の風雨に浸食されて崩壊状態だったのを1969年に復元。原型より7mほど低くなったものの、日本一の大きさを誇っています。
【2位】新潟県の白馬大仏:23.5m
新潟県の白馬観光ホテルの敷地内に建てられた白馬大仏さま23.5m…なんですが、ホテルは閉業・解体され、現在は大仏さまだけが残されているとのこと…忘れ去られた大仏さまとなっています。
【3位】青森県青龍寺の昭和大仏:21.35m
3番目は青森県青龍寺の大日如来の昭和大仏さま21.35m、青銅製で1984年に戦没者の慰霊と世界平和を願って建立されました。青銅製では日本一の大きさです。
【4位】愛知県東海市の聚楽園大仏:18.79m
そして、4番目が聚楽園大仏さまの座高18.79m。鉄筋コンクリート製ですが、1985年の補修時に銅粉を吹き付けたので、銅製の大仏さまに見えます。
聚楽園大仏さまは、奈良の大仏(14.98m)や鎌倉の大仏(12.38m)よりも大きいんです!
ここで、有名な大仏さまたちと比較してみましょう。
大仏名 | 奈良の大仏 | 鎌倉の大仏 | 聚楽園大仏 |
座高 | 14.98m | 12.38m | 18.79m |
完成年 | 755年 | 1268年頃 | 1927年 |
材質 | 青銅製 | 青銅製 | 鉄筋コンクリート (銅粉吹き付け) |
仏像名 | 盧舎那仏坐像 | 阿弥陀如来坐像 | 阿弥陀如来坐像 |
文化財指定 | 国宝 | 国宝 | 東海市指定文化財 |
興味深いのは、聚楽園大仏が奈良や鎌倉の大仏よりも大きいにもかかわらず、「日本三大仏」には数えられていないことです。これには理由があります。
- 建立年代:聚楽園大仏は1927年(昭和2年)の完成で、歴史的な価値が他の二体に比べて低い
- 材質:鉄筋コンクリート製であり、青銅製の奈良・鎌倉の大仏と異なる
- 知名度:観光地としての歴史が浅く、全国的な知名度が低い
日本三大大仏とされていなくても、聚楽園大仏に魅力がないというわけじゃありません。むしろ、近代の技術と信仰が生み出した貴重な文化財として、私たちの目を楽しませ、心を癒してくれるのです。
知名度や存在感では負けちゃってるかもしれませんが、聚楽園の大仏さまは奈良の大仏さまや鎌倉の大仏さまに負けず劣らずの神々しいお顔をされていると思いませんか?
東海市の聚楽園大仏はなぜ作られた?
聚楽園大仏さまは、昭和天皇のご成婚を記念して建立されました。
建立者:山田才吉の夢
聚楽園大仏を建立したのは、山田才吉という人物です。彼は、「守口漬」という漬物を考案したことで有名な実業家でした。
才吉さんは、自分の経営する「聚楽園」という料理旅館の敷地内に、永遠に残るようなものを作りたいと考えたんです。
そこで思いついたのが、大仏の建立だったんですね。才吉さんは私財を投じて、この大仏を建てました。
面白いのは、宗教的な理由というよりは、観光的な要素が大きかったんじゃないかと言われていることです。
大仏の特徴:近代技術の結晶
聚楽園大仏の特徴は、その製法にあります。鉄筋コンクリート製であることは先ほども触れましたが、1985年の補修時に銅粉を吹き付けたんです。
そのおかげで、一見すると銅製の大仏のように見えるんですよ。
また、大仏の頭の上には明かり取り用の丸い穴がついています。かつては、大仏の胎内めぐりができたそうです。
残念ながら、現在は安全上の理由から閉鎖されていますが、その構造からも、観光客を楽しませようという意図が感じられますね。
一切経の写経石:祈りの証
大仏の台座には、一切経の写経石が埋められています。
これは、仏教の教えを全て書き記した経典「一切経」を石に刻んだもので、建立時の人々の深い信仰心を物語っています。
聚楽園から聚楽園公園へ
才吉さんが亡くなった後、旅館「聚楽園」は売却され、その敷地は聚楽園公園となりました。現在は保健福祉センターと健康ふれあい交流館を含めて「しあわせ村」と呼ばれています。
大仏さまは、時代の変化を見守りながら、今もなお私たちを見守り続けているんですね。
聚楽園大仏の魅力:その表情と細部にせまる
聚楽園大仏の魅力は、その大きさだけではありません。実は、細部に至るまで非常に美しく作られています。
穏やかで優しい表情
聚楽園大仏の表情は、とても穏やかで優しいんです。見上げると、まるで「大丈夫だよ」と語りかけてくれているような気がします。
この表情は、コンクリート造形の名手、後藤鍬五郎(ごとうくわごろう)の技術によるものです。
後藤鍬五郎は、他にも愛知県刈谷市の刈宿の大仏など、多くの仏像を手がけた名工です。その技術が、聚楽園大仏の美しい表情を生み出しているんですね。
手の形や衣のしわまで緻密に
大仏の手の形や、衣のしわなども、とても緻密に作られています。近くで見ると、その細かな造形に驚かされます。
特に、胸元で組まれた手の形は、阿弥陀如来の印相(いんそう)を正確に表現しています。
背景の自然と調和する姿
聚楽園公園の緑豊かな自然と、大仏の姿が見事に調和しているのも魅力の一つです。
四季折々の景色と共に大仏を眺めると、その時々で異なる表情を見せてくれるような気がします。
聚楽園公園:大仏以外の見どころ
聚楽園大仏がある聚楽園公園には、他にも見どころがたくさんあります。
金剛力士像(仁王像)
大仏の正面にある階段の横には、コンクリート像の金剛力士像(仁王像)が並んでいます。この仁王像と大仏は、共に東海市指定文化財となっています。
力強い表情の仁王像と、穏やかな表情の大仏のコントラストも見どころの一つです。
ハーブ園
公園内にはハーブ園があり、様々な種類のハーブを見たり香りを楽しんだりすることができます。季節によって咲く花や香りが変わるので、何度訪れても新しい発見があります。
キャンプ場
アウトドア好きの方には、公園内のキャンプ場がおすすめです。大仏を眺めながらのキャンプは、非日常的な体験ができるはずです。
花の広場
季節の花々が咲き誇る花の広場も、公園の魅力の一つです。春には桜、秋にはコスモスなど、四季折々の花を楽しむことができます。
住所:東海市荒尾町西廻間2-1
聚楽園公園のアクセスと駐車場情報
聚楽園大仏を訪れる際の交通アクセスと駐車場情報をご紹介します。
電車でのアクセス
名鉄常滑線「聚楽園駅」で下車します。注意点として、この駅には準急か普通電車しか停車しません。特急や急行をご利用の場合は、太田川駅などで乗り換えが必要です。
聚楽園駅から東へ歩くこと約5分で、聚楽園公園に到着します。駅からは大仏の頭が見えるので、迷うことはないでしょう。
車でのアクセス
車でお越しの場合、東名高速道路の「東海IC」から約10分です。カーナビには「東海市しあわせ村」と入力すると便利です。
駐車場情報
聚楽園公園には、無料の駐車場(212台)が2箇所あります。
- 南駐車場
- 北駐車場
どちらの駐車場も無料で利用できますが、混雑時は満車になる可能性もあります。早めの到着をおすすめします。
営業時間:9:00~21:00
休業日:年末年始
駐車場利用時間:8:30~21:30 ※時間外は施錠
※情報が変更されている場合もありますので、公式サイトなどで最新情報をご確認くださいね。
さいごに
東海市の聚楽園大仏の魅力、そして周辺の見どころについてご紹介しました。
聚楽園大仏は、その圧倒的な大きさと穏やかな表情で、訪れる人々の心を癒してくれます。日本有数の大きさを誇りながらも、あまり知られていない「隠れた名所」とも言えるでしょう。
歴史ある奈良や鎌倉の大仏とは一味違う、近代の技術と信仰が生み出した聚楽園大仏。穏やかなお顔で、雨風の中でもどっしりと腰を下ろして、私たちを見守っています。
お寺じゃなくて公園にいらっしゃる大仏さま、ちょっと不思議な感じですが、お近くに行かれた時はぜひ、会いに行ってみてくださいね。