名古屋市中川区にある荒子観音寺は、名古屋城を中心にして鬼門の方角にある4つのお寺を尾張四観音として、徳川家康が定めたうちの1つ。2025年の恵方を担当するお寺です。
毎年、尾張四観音の恵方のお寺に参拝すると、ご利益がたくさんいただけると言われています。
毎年2月3日に行われる節分会は、一年の無病息災を願う大切な行事として親しまれています。今回は、2025年の恵方参りで注目の荒子観音寺の魅力をたっぷりとご紹介します。
2025年の荒子観音節分会について

開催場所:荒子観音寺 本堂
豆まき式:10:00~17:00(12:00~13:00は休憩)
料金:[前売券]4,000円 [当日券]4,500円
※2024年の情報です。
節分会の内容
荒子観音での節分会は、本堂でのご祈祷や豆まきが行われ、例年、多くの参拝者で賑わいます。豆は小袋に入ったもので、たくさんの方たちが手を上げて、投げられた豆をキャッチしようと集まります。
- 福豆まき
- 御守り・お札の授与
- 厄除け祈祷
参拝時の注意点
- 混雑予想:2025年の節分は日曜日にあたるため、例年より多くの人出が予想されます。
- 防寒対策:2月初旬は冷え込むことが多いため、暖かい服装でお出かけください。
- 感染症対策:インフルエンザなどの感染症が流行する時期でもあります。マスクの着用や手指の消毒を心がけましょう。
- 雨天決行です。天気予報を確認して、傘や雨具の準備があれば安心です。
荒子観音寺のご利益
2025年は荒子観音が恵方(西南西)を担当する特別な年。この年の節分会での参拝は、通常以上のご利益があるとされています。
- 厄除け
- 縁結び
- 現世利益
- 商売繁盛
荒子観音寺は奈良時代(729年)に開基された天台宗のお寺で、正式には「浄海山円龍院観音寺」、現在はどこの宗派にも所属していない単立寺院です。ご本尊の聖観世音菩薩像は33年に一度御開帳されます。
本堂は火災で焼失したため、1997年に再建されています。本堂前はスロープになっていて、どんな方にもお参りしやすいようになっています。バリアフリーのお寺や神社が増えるのは、いいですよね。
荒子観音寺節分会の屋台
荒子観音寺の節分会には、境内(本堂の東側、荒子観音寺東門周辺)にたくさんの屋台が並びます。
山門の周辺には、毎月第1日曜日に開催される荒子円空市(1月・2月はお休み)でおなじみのお店が出店されます。
荒子観音寺の見どころ
荒子観音時の見どころをご紹介します。
国指定重要文化財の多宝塔と六角堂

山門をくぐって左側にある多宝塔は、室町時代末期に建てられた、名古屋市内で最古の木造建造物で、国の重要文化財に指定されています。
創建から500年以上の歴史を持つ、荒子観音寺のシンボル的存在。節分会の日だけ、内部が公開されます。
山門から右側にある六角堂は、昭和47年(1972年)に古い厨子が見つかり、その中には千体を超える円空仏が入っていました。
円空さんが亡くなって270年以上たつのに、なぜそれまで見つからなかったのか? 誰がその厨子を六角堂に入れたのか? ちょっとミステリーな感じがします。
六角堂の裏側には「荒子神明社」が鎮座しています。創建は不明なんですが、本殿が茅葺き屋根で、中をのぞくと、小さな社殿が祀られていました。かつては荒子観音寺の守護神だったんですね。
個性的な円空仏

荒子観音寺には、江戸時代の仏師・円空による1,256体もの仏像が残されています。(円空さんは荒子観音寺に逗留されたこともあって、独特な円空仏が数多く残されているんだそうです。)
仁王門の中にある高さ3mを超える円空仏の仁王像は、直径90cmのヒノキから彫られています。
どちらかと言えば、仁王像は凛々しい、いかついお顔で睨んでるものが多いんですが、円空仏の仁王像はなんだかちょっとユーモラス。
独特な作風で、ぱっと見は仁王像らしくなくて、おなかもちょっとメタボっぽいし、寺の中に悪いものが入らないように睨んでる、というよりは、参拝者を歓迎してるって雰囲気です。
アクリル板がはめ込まれているので、全体を見るのはちょっと難しいんですが(写真も反射してうまく撮ることができませんでした)、仁王門の裏側に写真が掲示されてありました(写真↑)。
毎月の円空仏特別拝観

開催日:毎月第2土曜日
時間:13:00~16:00
開催場所:本坊
拝観料:500円/人
荒子観音寺では、月に1回、本坊にて円空仏を間近で拝観することができます。
円空仏は、江戸時代に美濃(岐阜県羽島市)に生まれた僧・円空さんが生涯に約12万体彫ったとされる仏像のこと。現存する円空仏5350体あまりのうち荒子観音寺には1256体、約4分の1が残されています。
円空さんはその土地で手に入る木ならどんな木でも(板でも)、仏像を彫っていきました。荒々しいノミ使いと、口角が上がっていて、微笑んで見えるのが円空仏の特徴です。
円空仏拝観では、円空さんとはどんな人だったのか、円空仏の特徴などを説明していただけます。円空さんは旅をしながら、病や災害で苦しむ人たちのために、気軽に拝める仏像を制作しました。
1本の木から一刀彫りで仏像を彫り、残りの木くずから木端仏を彫るので、小さな小指ほどの小さな円空仏がずらりと棚に並べられています。※写真撮影はできません。
背中が平らになっている仏像も多く、どんな形の木でも、仏像を彫っていった円空さん。懐中電灯で照らして近くでじっくり円空仏を見てみると、口元から歯や舌がのぞいている仏像もありました。
首から下が彫っていない仏像もあれば、2.7㎝の、どうやって彫ったのか不思議に思うくらいの小さな観音坐像もあります。
憤怒顔の愛染明王も、怒髪天(怒りで毛が逆立ってる)の仏様も、怖い目つきなのに口角が上がっているだけで、なんだか優しい感じで親近感がわきます。
なんというか…仏像として威厳があって拝みたくなる、というのではなくて、もっと身近な、うちの玄関に置いてあっても違和感なく、「行ってきま~す」って声を掛けたくなるような存在みたいな。
たくさんの優しいお顔の円空仏は必見! ぜひ会いに行ってみてくださいね。
護摩堂の青い不動明王

本堂左手にある護摩堂には、赤い炎を背負った青い体の不動明王が立っていて、その周りにカラフルな着色で円光を背負った二十八部衆が囲んでいます。右側の中央に鎮座されているのは、秋葉大権現です。
不動明王はあらゆる願いを叶えてくださる強力なパワーの持ち主、秋葉大権現は火伏せの神さまです。
なんか、仏像というよりはフィギアのような、かっこいいヒーロー戦隊が並んでいるような印象です。
天井画がくっきりと残されていました。正面の仏像に視線が釘付けになってしまいがちですが、天井も忘れずに見上げてくださいね。
荒子観音寺の御朱印
名古屋の恵方は名古屋城中心に決まってて今年の恵方はほぼ西なので、荒子観音が受け持ち!
— 宮田大樹 (@miyatadaiki) February 3, 2020
さすがに大勢いらしてました〜
御朱印、観世音菩薩表記だったり、大悲殿表記だったりですが、今日は書き置きのみで大悲殿
重要文化財の多宝塔も開かれてましたよん♪ pic.twitter.com/w44PqQSIpo
荒子観音寺の御朱印は、本堂左側にある授与所でいただくことができます。※節分会の日は書き置きのみ。
- 大悲殿
- 尾張三十三観音霊場 第12番札所
オリジナルの御朱印帳はありませんので、ご注意くださいね。
※境内の開門時間は7:00~17:00です。御朱印はこの時間内で対応していただけますが、授与所が留守の時もあります。
住所:名古屋市中川区荒子町宮窓138
電話番号:052-361-1778
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荒子観音のアクセスと駐車場

荒子観音寺へ電車での行き方
名古屋から荒子観音寺へ行く場合は、あおなみ線「荒子駅」で下車します。南西方向へ10分ほど歩きます。
または名古屋市営地下鉄東山線「高畑駅」で下車、5番出口から東へ8分ほど歩きます。
金山駅から行く場合は、バスターミナル3番のりば、(金山21)地下鉄高畑駅行または中川車庫前行きのバスに乗って「荒子観音バス停」で下車します。バス停から西へ2分ほど歩くと東門に到着します。
荒子観音寺周辺の駐車場
荒子観音東門から入った先に、50台ほど駐車できる参拝者用の無料駐車場がありますが、節分会の日には屋台が出ているため、駐車ができません。
荒子観音寺周辺のコインパーキングを利用してくださいね。
リードパーク高畑南
住所:名古屋市中川区荒子町大和ケ池2-1
駐車台数:7台
料金:30分100円 最大料金24時間600円
※荒子観音寺まで約200m、徒歩2〜3分の距離です。
三井のリパーク 高畑2丁目
住所:名古屋市中川区高畑2-293
駐車台数:9台
料金:60分220円 最大料金24時間600円
※荒子観音寺まで約300m、徒歩5分ほどです。
名鉄協商 高畑駅南
住所:名古屋市中川区高畑2-369
駐車台数:5台
料金:60分200円 最大料金24時間650円
※荒子観音寺まで約350m、徒歩5分ほどです。
三井のリパーク 荒子駅前駐車場
住所:名古屋市中川区荒子2-14-2
駐車台数:27台
料金:60分200円 最大料金24時間600円
※荒子観音まで約450m、徒歩8分くらいかかります。
荒子観音近くにある前田利家生誕地

荒子観音寺は戦国武将・前田利家の菩提寺でもあります。
2002年には「前田利家が着用したと思われる甲冑」も発見されています。(400年以上も前の甲冑で、かなりボロボロでしたが)
荒子観音寺から200mほどの場所に、前田利家が居城した荒子城跡に建立された「富士権現天満宮」があります。
天満宮となってるので、ご祭神は「菅原道真」なんですが、なんと前田家の祖先は菅原道真公なんだとか。史実は不明なんですが、荒子城の鎮守社として開創された神社です。
参拝すれば「若年者は知恵がつき、老齢者はボケない」と言い伝えが残されています。

前田利家は15歳の時から織田信長に仕え、長篠の戦では鉄砲隊を指揮するなど、家臣の中でも一目置かれる存在でした。
本能寺の変のあとは豊臣政権の5大老のひとりとして秀吉を補佐し、加賀藩百万石の礎を築きました。
※前田利家生誕地は、荒子城より3Kmほど西にあった「前田城」説もあります。
荒子観音寺から「犬千代ルート」の案内マークが路上に表示されていて、利家ゆかりの地をめぐることができます。
住所:名古屋市中川区荒子4-208-1
※駐車場はありません。
※情報が変更されている場合もありますので、ご利用の際は必ず現地の表記をご確認くださいね。
さいごに
2025年の恵方を担う荒子観音寺は、歴史ある尾張四観音の一つとして、多くの参拝者の信仰を集めてきました。
節分会は、邪気を払い福を呼び込む伝統的な行事です。2025年の節分には、ぜひ荒子観音寺を訪れてみてはいかがでしょうか。
荒子観音寺の北側にある「荒子公園」には、「前田利家・荒子梅園」があります。節分会のころは咲き始めですが、色とりどりの梅が植えられているので、天気が良ければぜひ足を延ばしてみてくださいね。