常滑といえば焼き物の町。土管坂・煙突・窯跡——やきもの散歩道を歩くと、焼き物と一緒に生きてきた町の空気が感じられます。
そのすぐ近くに、もうひとつの「焼き物文化」を楽しめる場所があります。
INAXライブミュージアム。
「INAX(LIXILの前身)」が常滑の地に構えた企業ミュージアムで、タイル・土管・建築陶器の歴史と文化を体感できる施設です。
行く前は「工場見学みたいな場所かな」と思っていたんですが、全然違いました。世界中から集めたタイルの美しさ、明治時代の絵付き便器、大正時代のレンガ窯——
「こんなに深い場所だったのか」と何度も立ち止まりながら歩いていました。
派手さはないけれど、大人ほど楽しめる空間。常滑に来たなら、やきもの散歩道と合わせてぜひ歩いてほしい場所です。
INAXライブミュージアムとはどんな場所?

INAXは、タイルや衛生陶器(便器・洗面台など)の製造で知られるメーカー。その拠点が、焼き物産地・常滑にありました。
常滑はかつて土管生産量日本一を誇った町で、下水道整備が進んだ明治以降、土管は全国に送り出されました。
その焼き物産地としての技術の蓄積が、タイルや建築陶器の製造へとつながっていったわけです。
「常滑の焼き物文化」と「INAXのものづくり」が重なる場所——それがこのミュージアムです。
タイル文化を体感できる施設
ミュージアムの敷地内には6つの施設が点在していて、それぞれのテーマが違います。
タイルの歴史・土管の窯・建築陶器・体験工房——「展示を見る場所」でありながら、「歩きながら文化の空気を感じる場所」でもあります。
外を歩きながら建物から建物へ移動する、その「散歩感」が心地いい。やきもの散歩道と同じ感覚で、歩くこと自体が楽しいミュージアムです。
※「窯のある広場・資料館」の受付でチケットを購入すると、「世界のタイル博物館」を含むすべての展示が見学できます。
住所:常滑市奥栄町1-130
開館時間:10:00~17:00
休館日:水曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
タイルの美しさに見入ってしまう

「世界のタイル博物館」に入ると、まず圧倒されます。
世界中から集められた約1,000点ものタイルが並んでいて、中でも目を引くのがイスラムのドーム天井を再現した展示。
ブルーを基調に、細かい幾何学模様がびっしりと並んでいる。「タイルだけでこれほど神秘的な空間が作れるのか」という驚きがあります。
光の加減によってタイルの表情が変わるので、見る角度を変えながらじっくり観察するのがおすすめです。
昭和レトロなデザインが面白い
2階には国や時代によって特徴が異なるタイルが並んでいます。ヨーロッパの絵タイルの精巧さは絵画のようで、日本の昭和初期のタイルには懐かしいデザインのものが多い。
「昔の人はこんなにこだわってタイルを作っていたのか」と思いながら見ると、足が止まりっぱなしになります。
“昔の生活の美しさ”を感じる
世界のタイル博物館1階の片隅に、明治時代の和便器と厠下駄(かわやげた)の展示室があります。
きれいに絵付けされた陶器の便器が並んでいて、「これ、便器ですよね?」と二度見してしまうほど美しい。当時の職人さんたちは、便器にまで「美しいものを作りたい」という思いを込めていたんですね。
「自分たちの作った便器が将来ミュージアムに並ぶなんて、想像もしなかっただろうな」と思いながら見ると、なんとも言えない気持ちになります。
これ、絶対に見逃してほしくないコーナーです。
実際に歩いて感じたINAXライブミュージアムの魅力

INAXライブミュージアムは、テーマパークのような賑やかさはありません。静かで、丁寧で、落ち着いています。
でも歩いていると、「これ、なんだろう?」「こんな歴史があったの?」という発見が次々と出てきます。派手じゃないのに面白い——そういう場所が好きな方に、ぴったりです。
「窯のある広場・資料館」では、22mの高さの煙突と大正時代のレンガ窯が丸ごと保存されています。
プロジェクションマッピングで土管を焼く窯の中の炎が再現されていて、「常滑でこれだけの規模の焼き物産業があったのか」と改めて実感します。
明治から昭和の職人が使っていた道具や機械の展示も、ひとつひとつに時代の重みがある。
やきもの散歩道で煙突や土管を見た後にここに来ると、「あの煙突はこういう窯で使われていたのか」と点と点がつながる感覚があります。
大人ほど楽しめる空間だった
「光るどろだんごづくり」(約60分)は子どもに人気の体験プログラムですが、やってみた大人がハマるという話をよく聞きます。
土を磨き続けて宝石のように輝かせる——完成まで2週間ほどかかりますが、その過程がとっても楽しいとのこと。
タイルのモザイクアートや絵付け体験(陶楽工房)も、手を動かしながら「作る楽しさ」を感じられる体験として、大人にこそおすすめです。
おすすめのお土産

ミュージアムショップ(入館料なしで入れます)には、タイルの鍋敷き・アルファベットのイラストタイル・テラコッタの数字タイルなど、インテリアとして使えるお土産が揃っています。
そして絶対に紹介したいのが「トイレの最中」。洋式トイレの形をした最中に、別添えのあんこを入れて食べるお菓子です。
「正しいお召し上がり方」に「トグロを巻かないようにしてください」という注意書きがある(笑)。あんこはたっぷり入っていて、味はしっかりおいしいですよ。
もらった人が絶対笑顔になるお土産として、個人的に最推しです。
常滑やきもの散歩道と一緒に巡るのもおすすめ

INAXライブミュージアムは常滑駅から車で約8分。やきもの散歩道のエリアとは少し離れていますが、常滑観光のセットとして組み合わせるのが自然な流れです。
やきもの散歩道で「焼き物の町の空気」を歩き、INAXライブミュージアムで「焼き物文化の歴史」を知る——この2つを組み合わせると、常滑という町が立体的に見えてきます。
やきもの散歩道の土管坂を歩いて「この土管はどこで作られたの?」と思った疑問が、INAXライブミュージアムの窯の展示で解消される。そういう「点と点がつながる」体験ができるコースです。
午前中にやきもの散歩道を歩いて、ランチを挟んでINAXライブミュージアムへ——という流れが、常滑1日散歩のおすすめルートです。
所要時間はどれくらい?

- 主要な展示棟をさらっと見るなら、1時間ほど
- タイル博物館・窯の資料館をじっくり見るなら、2〜3時間
- 体験プログラムも参加するなら、3〜4時間(体験によっては事前予約が必要)
- 常滑やきもの散歩道と合わせるなら、半日〜1日
水曜日が定休なので注意してください。体験プログラムは事前予約ができるものもあるので、確認してから来るとスムーズです。
INAXライブミュージアムのアクセスと駐車場
電車の場合
名鉄常滑線「常滑駅」下車(名古屋から特急約30分)、西側バス乗り場1番から「知多半田駅行き」バスで「INAXライブミュージアム前」下車(約5分)。
バスは1時間に1本程度なので時刻表を確認してから。常滑駅から徒歩だと約25〜30分です。
車の場合
セントレアライン「常滑IC」から南へ約8分。敷地内に無料駐車場3か所(合計80台)。世界のタイル博物館に近いのは第2駐車場です。
INAXライブミュージアムまとめ
INAXライブミュージアムは、「展示を見る場所」というより、タイル文化の空気を歩く場所でした。
イスラムのドーム天井を再現したタイルの美しさ、大正時代の窯の重厚感、絵付けされた明治の便器——どれも「知らなかった美しさ」との出会いでした。
常滑の焼き物文化は、土管坂やきもの散歩道だけじゃない。INAXライブミュージアムにも、その歴史の続きがあります。
常滑に来たなら、やきもの散歩道と合わせてぜひ歩いてみてくださいね。
※情報が変更されている場合もありますので、公式サイトなどで最新情報をご確認くださいね。
