この記事では、歴史と文化が息づく素敵な場所、馬籠宿についてご紹介します。
江戸から43番目の宿場町「馬籠宿(まごめじゅく)」は、岐阜県中津川市にある坂の宿場町。通りは石畳が敷かれ、両側に江戸時代の面影を残すお店が並んでいます。
馬籠宿で食べ歩きを楽しみたいけれど、あれもこれも食べるとお腹いっぱいになっちゃうし…そんな心配をお持ちの方に、厳選したおすすめグルメをお伝えします。
さらに、馬籠宿の見どころやアクセス情報もお伝えしますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。
水の流れる心地いい音を聞きながら、江戸時代にタイムスリップしたかのような石畳の道をのんびり散策してみましょう。
馬籠宿のおすすめ人気食べ歩きグルメは?
馬籠宿には、江戸時代から続く伝統の味や、地元の食材を使った美味しいグルメがたくさんあります。ここでは、特におすすめの3つをご紹介します。
「白木屋」の名物五平餅
馬籠宿と言えば、やはり五平餅! 中でも、馬籠宿の下入口近くにある「白木屋(しろきや)」の五平餅は絶品です。
ご飯をつぶした丸いだんごに、胡桃醤油味のタレを塗って、いろりでこんがり焼いた手作りの五平餅は、昔ながらの製法で作られています。
焼き立ての五平餅を頬張ると、香ばしい香りと共に、もちもちした食感が口の中に広がります。胡桃の香ばしさと醤油の旨みが絶妙なバランスで、一度食べたらやみつきになること間違いなしです!
【ワンポイントアドバイス】
馬籠宿には他にも「近江屋」や「かなめや」など、五平餅を提供するお店がいくつかあります。
それぞれのお店で、たれの味や形が少しずつ異なるので、食べ比べしてみるのも楽しいですよ。ただし、お腹がいっぱいになってしまうので、2~3店舗程度の食べ比べがおすすめです。
住所:中津川市馬籠4568-3
営業時間:10:00~15:30
不定休
「道中おやき」のアツアツおやき
歩き疲れたら、おやきでひと休みしませんか?「道中おやき」では、店頭で蒸したアツアツのおやきを味わえます。
野沢菜やよもぎ(小倉あん)、ナス(みそ味)、くるみ(白あん)、かぼちゃ、肉まんなど、種類も豊富。おかず系と甘味系の2種類があるので、お好みで選べます。
保存料を使用していないので、素材本来の味を楽しめるのが特徴。皮が厚めでふわふわしていて、まるでパンのような食感です。
店内でいただくと、お茶とお漬物のサービスもあり、ちょっとした休憩にぴったりですね。
【ワンポイントアドバイス】
おやきは意外とボリュームがあるので、1つか2つ程度を楽しむのがおすすめです。野沢菜など塩味のものと、よもぎなど甘味のものを1つずつ選ぶと、バランスが良くておいしく食べられますよ。
住所:中津川市馬籠4294-02
営業時間:9:30~17:00
定休日:不定休
「うさぎや」の手焼きせんべい
馬籠宿のほぼ中間地点にある「うさぎや」は、手焼きせんべいが人気のお店です。通りを歩いていると、おせんべいを焼く醤油の香ばしい香りに誘われて、思わず立ち寄ってしまいそう。
しょうゆ、ザラメ、黒ゴマ、赤しそ、青のり、特上のりなど、種類も豊富です。1枚ずつ味わうのも良いですし、4種類ほどのおせんべいが紙コップに入ったミックスセットもおすすめ。
また、串にささったぬれおかき(甘口醤油、七味、ごま)も人気です。
ぬれおかきは、ぷっくり膨らんだ一口サイズのおかきが4つ串にささっていて、とってもモチモチした食感。中でも甘口醤油味は、甘みと塩味のバランスが絶妙で、クセになる美味しさです。
辛いものがお好きな方は七味味を、香り高い風味を楽しみたい方はごま味をぜひ試してみてくださいね。
【ワンポイントアドバイス】
せんべいは日持ちするので、お土産にもぴったり。食べ歩きの際は、ミックスセットやぬれおかきを1本程度楽しむのがおすすめです。残りは宿や自宅でゆっくり味わえますよ。
住所:中津川市馬籠4295
営業時間:9:00~16:00
定休日:不定休
馬籠宿の見どころは?
馬籠宿は食べ歩きだけでなく、歴史や文化を感じられる見どころがたくさんあります。ここでは、特におすすめのスポットをご紹介します。
水車小屋と常夜灯桝形
馬籠宿の下入り口から坂道を上がると、「阿弥陀堂」があり、そこから道が90度に曲がっています。その先には江戸時代の街灯である常夜灯があり、ここでも道が曲がっています。
この「桝形(ますがた)」と呼ばれる道の形は、江戸時代の徳川幕府が敵の侵入を防ぐために作らせたものなんです。
現在は、江戸時代に造られた階段の道と、明治時代に造られた坂道の2つが並んでいます。どちらを歩くかは、その日の体調や気分で選んでみてはいかがでしょうか。
常夜灯の奥には、馬籠宿のシンボルである大きな水車が回っています。ゆったりと回る水車を眺めていると、まるで時間がゆっくり流れているような気分になりますよ。
【ワンポイントアドバイス】
水車の音を聞きながら、ベンチで一休みするのもおすすめ。疲れを癒しながら、江戸時代にタイムスリップしたような気分を味わえますよ。
島崎藤村ゆかりの地
馬籠宿は、文豪・島崎藤村のゆかりの地としても有名です。
宿場町の中心あたりにある「藤村記念館」は、島崎藤村の生家で、かつては馬籠宿の本陣(大名や旗本、幕府役人など身分の高い人が泊まる旅館)でした。
明治28年の大火で本陣の多くは焼失してしまいましたが、土蔵と祖父母の隠居所は江戸時代に建てられたままの姿で残っています。少年時代の藤村は、この隠居所の2階で勉強していたそうですよ。
記念館には藤村の原稿や愛用品など6000点もの資料が収蔵されており、「夜明け前」などの原稿も展示されています。明治、大正、昭和と時代を生きた藤村の人生をたどることができる貴重な場所です。
【ワンポイントアドバイス】
藤村記念館の横にある「大黒屋茶房」では、名物の栗こわ飯(栗がたっぷり入ったおこわ)を味わえます。
藤村の初恋の人・おゆうさんの生家でもあるこのお店は、もともとは造り酒屋。お店の2階には、酒造で新酒ができたことを知らせる目印の杉玉が吊りさげられています。
文学の香りを感じながらほっこりとした時間を過ごすのもおすすめです。
「かなめ屋」の前に案内板があり、かなめ屋の前にある細い坂道を下っていくと、島崎家の菩提寺「永昌寺」があり、島崎藤村のお墓があります。(島崎藤村の本名「島崎春樹」という名前になっています。)
藤村の両親、藤村の前妻冬子さんと、長男や娘たちのお墓も並んでいます。島崎藤村のお墓は神奈川県の地福寺にあり、永昌寺のお墓には遺髪と爪が納められています。
島崎藤村ゆかりの地を巡る旅の締めくくりに、「清水屋資料館」を訪れてみましょう。この資料館は、島崎家と親交が深かった清水家の邸宅を利用したものです。
2階の展示室には、藤村直筆の書や小林一茶の掛け軸、九谷・伊万里・唐津などの陶磁器が展示されています。文学と美術の両面から、馬籠宿の文化的な豊かさを感じることができる場所です。
住所:中津川市馬籠4256-1
開館時間:9:00~17:00 (12〜3月)9:00~16:00
休館日:12〜2月の水曜日
料金:大人500円 高大学生400円 小中学生100円
清水屋資料館
住所:中津川市馬籠4282
開館時間:8:00~17:00 (12〜3月)8:30~16:30
休館日:不定休
料金:大人300円 学生100円
馬籠脇本陣資料館と木曽5木
馬籠宿を歩いていると、美しい並木道に出会います。ここに植えられているのが「木曽5木」と呼ばれる5種類の木々です。サワラ、ネズコ、アスナロ、コウヤマキ、ヒノキがその5木にあたります。
これらの木は、木曽の良質な木材として築城や武家屋敷の建設などに重宝されていました。しかし、乱伐により山が荒れてしまったため、尾張藩が厳しい伐採禁止令を出したのです。
「木1本に首1つ」と言われるほど厳しい罰則のおかげで、木曽5木は守られ、今では特産品ブランドにまでなっています。
この歴史を肌で感じながら、「馬籠脇本陣史料館」を訪れてみましょう。ここでは、明治28年の大火で焼け残った、脇本陣蜂谷家の遺品や、復元された上段の間(大名が宿泊した部屋)が展示されています。
当時の宿場町の様子や、旅人たちの生活を垣間見ることができる貴重な場所です。
住所:中津川市馬籠4253-1
開館時間:9:00~17:00
休館日:不定休
入館料金:大人300円 学生100円
見晴らし台
馬籠宿の上り坂を約600m歩くと、復元された馬籠宿高札場(こうさつば:幕府や藩の決め事が掲げられた掲示板)があり、その先に展望台があります。
ここからは、標高2191mの恵那山を真正面に望むことができます。
晴れた日には、遠くまで続く山々の景色を一望でき、四季折々の美しい風景を楽しめます。
春には新緑、秋には紅葉と、季節によって異なる表情を見せてくれるので、何度訪れても飽きることがありません。
【ワンポイントアドバイス】
展望台までの道のりは少し急な坂道ですが、馬籠宿の下入り口からゆっくり歩いて30分ほどで到着します。途中で休憩を取りながら、石畳の風情を楽しみつつ歩くのがおすすめです。
馬籠から妻籠まで行くなら
展望台の先に「妻籠(つまご)宿」への道(ここから7.6Km)が続いています。馬籠宿から馬籠峠を越えて、旧中山道信濃路自然遊歩道を妻籠宿まで、約3時間のハイキングが楽しめます。
街灯がないので、途中で日没にならない時間に出発するようにしてくださいね。妻籠から馬籠に向かうバスの最終は平日14:22、休日16:42(GW期間中や夏休み、紅葉の時期などは平日も運転)です。
馬籠の観光案内所で「熊よけの鈴」を借りることができます。夏は水分と虫よけグッズが必携ですよ。
馬籠宿のアクセスと駐車場は?
最後に、馬籠宿へのアクセス方法と駐車場情報をご紹介します。
馬籠へ電車・バスでのアクセス
名古屋から馬籠宿に行く場合は、JR中央線「中津川駅」で下車します。名古屋駅から快速で約1時間20分かかります。中津川駅前からは北恵那交通バス馬籠線に乗り、約25分で終点の「馬籠」に到着します。
また、名古屋の名鉄バスセンターから「名古屋~飯田線」に乗って「馬籠」で下車する方法もあります。トイレ付きで座席間隔が広めのバスなので、快適に移動できます。所要時間は約1時間20分です。
【ワンポイントアドバイス】
公共交通機関を利用する場合は、事前に時刻表を確認しておくことをおすすめします。特に帰りのバスの最終便時刻は要チェックです。
馬籠へ車でのアクセス
車を利用する場合は、中央自動車道「中津川IC」で降り、国道19号線を木曽方面に向かいます。カーナビを使用する際は、「馬籠宿」または「馬籠資料館」を目的地に設定すると便利です。
馬籠宿には複数の無料駐車場があります。主な駐車場は以下の通りです:
- 馬籠下入口付近:「A-1」~「A-3」の3か所
- 馬籠上入り口付近:「B-1」~「B-5」の4か所(B-3はバス専用)
- ふれあい広場付近:「C-1」~「C-3」(混雑時無料解放)
- 島田公園駐車場(混雑時無料解放)
多くの方が馬籠下駐車場を利用しています。大きなお土産屋「馬籠館」が下駐車場にあるので、買い物をするなら下駐車場の方が便利だからでしょうか。
【ワンポイントアドバイス】
週末や連休は駐車場が混雑することがあります。早めの到着をおすすめします。また、石畳の坂道は歩きやすい靴で歩くのが安全です。特に雨の日は滑りやすいので、下りの際は十分注意してくださいね。
※トイレは下駐車場のA-2横、上駐車場のB-2横、観光案内所(藤村記念館の前)にあります。
※情報が変更されている場合もありますので、公式サイトなどで最新情報をご確認くださいね。
さいごに
馬籠宿は、美味しいグルメと歴史ある風景が楽しめる素敵な場所です。
食べ歩きを楽しみつつ、ゆっくりと宿場町の雰囲気を味わってみてください。季節ごとに違う表情を見せる馬籠宿は、何度訪れても新しい発見があります。
秋の栗のシーズンになると、栗ふく(カステラ生地の中に栗が丸ごと1つと栗あんがたっぷり)や栗きんとん、栗アイスもなかなどが登場、栗こわ飯の味も風味も絶品になります。
ぜひ、お気に入りの場所を見つけて、心に残る旅の思い出を作ってくださいね。