毎年旧正月の13日目に行われる、国府宮神社のはだか祭り。「今年は暖冬だからいいね」って思われてたのに、3日前から雨が続いて、寒さが戻ってきました。
当日午後には雨はやんだものの、気温は10℃に届かず、風は4m~5m。ダウンを着てても風が吹くと背中を丸めてしまうくらいの寒さの中、4年ぶりのはだか祭りが通常開催されました。
この記事では、2024年2月22日に行われた、国府宮神社のはだか祭りの様子をお伝えします。傍から見てるとはだか男たちの一体感と興奮を肌で感じることができますよ。
なおい布に願いを込めて
各場所で用意されている笹に、なおい布を付けます。はだかになれない女性や年配の方たちが、願いを書いて、はだか男に奉納してもらうんです。
なおい布は1か月を1寸として、1年で1尺2寸、約36cmですが、今年はうるう年なので1尺3寸、約39cm。きちんとしたサイズの決まりがある、さらし布です。
上部に「奉納」と左から右へ書き、真ん中に「尾張大國霊神社」と縦書きにします。国府宮神社の正式名ですね。右側に願い事を4文字熟語で記入します。
左側には干支、氏名、性別、年齢(数え年)を書きます。「家内安全」「入試合格」「開運長久」「身体健全」「心願成就」などが書かれていました。
たくさんの祈念が込められたなおい布がつけられた笹は、道中で地区ごとに1つに束ねられていきます。地区によっては大きな丸太ん棒のようになっています。
色とりどりの旗をなびかせて、はだか男たちは「わっしょい!わっしょい!」と声をあげながら、なおい笹を奉納するために、国府宮神社を目指して歩いて行きます。
国府宮神社の参道へ
今年はなおい笹奉納に女性団体7組が参加、午前中に奉納が行われました。長い歴史をもつ国府宮はだか祭の、大きな変化。奉納を終えた女性たちはみな、誇らしげな表情で嬉しそうでした。
正午を過ぎると、はだかにサラシふんどしと白足袋姿の男性たちが地区ごとに、なおい笹をもって国府宮神社に集まり始めます。
各地区の団体は、国府宮神社に入る順番が決まっています。その順番を守りながら(道路で自分たちの前の地区団体がくるのを待機して)、順番に参道に入って行きます。
参道に到着すると、はだか男たちの歓声が大きくなります。紙パックのお酒をラッパ飲みしてる人がいたり、警備のおまわりさんに抱きついている人や、酔っぱらって歩道に倒れこんでる人も!
寒いから飲まなきゃやってらんない!っていうのが現状なんでしょうね。冷や酒は酔いがまわりやすいので、あんまりひどい酔っ払いが出ると、そのエリアの区長さんが叱られるんだそうです。
順番になおい笹が奉納され、しんがりは手桶隊。手がすべらないようにゴム手袋をつけ、手桶をかかげて歩いてきます。あとは神男が出てくるのを待つだけ。
集結したはだか男たちは約7,500人、赤いふんどしは数えで60歳の還暦の方ですが、紫のふんどしの方も見えました。なんと古希(70歳)なんだとか!
さらに金のふんどしというのがあって、80歳以上!なんだそうです。滅多にお目にかかれませんが、お目にかかれたら、拝んでしまいそうになりますね。
参道を歩いて行くはだか男さんに「なおいぎれ」を割いてもらうと、厄除けになるそうで、何人かのはだか男さんからいただきました。
写真↑右は、いただいたなおい切れを編んで作りました。お守りとして、車に入れておきます。写真左は国府宮神社で購入したなおいぎれ(100円)です。
はだか祭りのクライマックス
午後から順番になおい笹が奉納され、はだか男たちが神社の楼門前に集合しています。午後3時頃には神社の境内だけでなく、楼門の外にも、はだか男で埋め尽くされています。
最近はYou Tubeなどで国府宮はだか祭が紹介されて、海外でもはだか祭りを知る人たちが増えています。ふんどし姿の外国人の方も何人かみえました。
日本のお祭りに共感して参加して楽しんでもらえるのって、なんだか嬉しいですよね。
また、稲沢市はギリシャのオリンピア市と姉妹都市なので、2020年のはだか祭では、ギリシャからの参加者もいらっしゃいました。
※古代オリンピックは裸で行われていて、はだか祭りと共通するものがあるということ、両市とも非核平和都市宣言をしていること、歴史がある古い都市であること、などから姉妹都市になっています。
国府宮の境内は、数千人のはだか男たちで埋め尽くされ、神社の拝殿では15時から「儺追(なおい)神事」が始まります。神事が終了すると、手桶隊がはだか男たちに水をかけ始めます。
大勢のはだか男たちは、狭い境内の中で肌がくっついて「おしくらまんじゅう」状態、肌がこすれるのを和らげるために水をかけるそうですが、水がかかっても、はだか男たちの熱気はどんどん上昇していきます。
神男が登場したのは午後4時24分、はだか男たちの中へ飛び込みます。
神男が現れると、神男にさわって厄を祓おうと、はだか男たちがいっせいに殺到します。神男が台風の目で、はだか男たちが渦を巻く台風のようです。
神男はすべての厄難を一身に受けてもみくちゃになりながら、儺追殿を目指します。
かぶりつきで真ん前で見てると、桶隊の水が飛んできます。本当に冷たい水なんですが、この水をかぶっても、はだか男はひるむことなく、神男を目指して進みます。
はだか男たちの歓声があがり、なんだかそこだけが別の空間のような、見ている観客は寒くて震えているのに、はだか男たちは湯気が出てるというか、熱気がむんむんしています。
楼門から儺追殿までは約65m(参道からは約200m)の距離を、はだか男たちをかき分けて、神男は進んでいきます。 そして午後5時15分、神男は儺追殿に引き上げられ、万歳と拍手が沸き起こりました。
はだか男として参加したら?
はだか男たちがもみ合いになる時は、ひたすらもも上げしていないと足を踏まれまくりになり、押し合いへしあいで肌がこすれて痛いし、翌日は身体がボロボロになってるんだとか。
肌がこすれるのを防止するために手桶隊が上から水をかけるんですが、すぐに熱気で蒸発しちゃうし、泥水で足はぐちゃぐちゃ…祭りの後の足元は泥だらけで、悲惨な姿になっています。
参道には木で柵が作られて、見物客は中に入れませんが、神男が登場すると歓声が上がり、その場にいるみんなが大興奮の祭りのクライマックス。
神男が儺追殿に引っ張り込まれて、はだか祭が終了、はだか男たちはそれぞれ自宅へ戻っていくんですが、寒さがこたえるんですよね。
身体が冷え切っているので、ぬるいお風呂に入って、少しずつ体を温めていきます。そしてまた、来年も参加しようって思うんだそうです。
はだか祭りの本当の魅力って、はだか男にならないとわからないものなのかもしれませんね。
夜儺追(よなおい)神事
草木も眠る夜中の3時、神男はすべての災厄が封じ込められた土餅を背負わされ、桃と山気の小枝で作った礫(つぶて)を投げつけられ、境内から追放されます。
もみくちゃになった挙句、疲れ切った体に餅を背負わされて、追い出されちゃうんですよ。なんだかかわいそうな気もしますが、これも神事なんですよね。
神男は途中で土餅を捨てて、後ろを振り返らずに帰宅、この土餅を神職が土に埋めることで厄払いが終わります。
はだか男たちの押し合いがクローズアップされていますが、この世の罪穢厄災を土に中へ還すのが、祭りの一番大切な神事なんです。
神男さん、本当にお疲れ様でした。
さいごに
2024年の国府宮神社のはだか祭りをお伝えしました。目の前でたくさんのはだか男を見てると、この寒さの中はだかで外に出てることだけで、すごい、神々しさを感じました。
はだか男さんからいただいたなおいぎれ、ご利益があるに決まっています! これからもずっと、未来へつなげてほしいお祭りです。
目の前で見ると、本当にすごいお祭りです。チャンスがあればぜひ、国府宮のはだか祭りを見に来てくださいね!
・国府宮神社のはだかまつり2024年の日程と交通規制は?大鏡餅の奉納はある?
・国府宮神社(稲沢市)のご利益と厄払いは?イベントとアクセス駐車場もご紹介!