岐阜県垂井町にある南宮大社は、美濃の国の一の宮として知られる格式ある神社です。
朱塗りの楼門、回廊、高舞殿——境内に入った瞬間から、その美しさに足が止まります。
でも歴史好きとしてここに来たかった理由は、もうひとつあります。関ヶ原の合戦(1600年)の際、西軍・毛利秀元がこの南宮山に陣を構えた場所だということ。
境内の背後にはその陣所跡へ続く山道があって、「少し歩いてみようか」と入ってみたら——想像以上にしっかりした山道でした。
実は…途中で引き返しました。思ったよりきつくて、これ以上はムリ!ってなっちゃった。
「無理して登り切ること」より「山の空気を感じながら歩くこと」の方が、50代の歴史散歩には合っている。南宮大社は、そういうことを改めて教えてくれた場所でした。
南宮大社とはどんな神社?

南宮大社は、鉱山と金属業の総本宮として全国から崇拝される神社です。
ご利益は金運・財運・勝負運。受験シーズンには必勝祈願の受験生も多く訪れます。人気のお守りは刀の形をした「御刀守(護身刀)」で、運を切り開き悪運を断ち切るお守りとして知られています。
境内には本殿・拝殿・高舞殿・楼門など15棟の社殿と石橋・石鳥居が並び、総工費7千両(現代の価値で約21億円)で再建されたと伝わります。
370年以上経った今も、朱塗りの荘厳な姿を保っています。
関ヶ原との関係

南宮大社の全社殿は、関ヶ原の合戦(1600年)で焼失。その後、美濃出身の春日局が3代将軍・徳川家光に再建を請い、1642年に現在の社殿が整えられました。
関ヶ原の合戦では、西軍の毛利秀元がこの南宮山に3万の大軍を率いて陣を構えました。しかし結局動かず、東軍の勝利を見届けることになった——その陣所跡が、今も境内の裏手の山に残っています。
「関ヶ原で焼かれた神社が、徳川によって再建された」という歴史の重なりが、ここには静かに残っています。
楼門や回廊の美しさ

南宮大社の見どころは、何といってもその建築の美しさです。
大きな朱塗りの楼門の前には石輪橋が架かり、楼門をくぐると高舞殿、その軒下には12支の丸彫りが飾られています。拝殿の左右には回廊が伸び、その奥に素木造りの本殿が静かに構えています。
朱塗りの華やかさと、素木のどっしりした趣が対比になっていて、この構成が印象的でした。

楼門の表には、木造の右大臣と左大臣、裏には狛犬が門番として座っています。狛犬さんの吽形には真ん中に角が生えていました。比較的古い時代の狛犬さんですね。
毎年11月3日(文化の日)には宝物館が一般公開されます。日本に5本しかない平安時代の名刀、奈良時代の鉄製の鉾、胴丸(平安時代の鎧)など——歴史好きにはたまらない展示です。
南雲大社の見どころ

楼門をくぐった瞬間の景色が、南宮大社でいちばん好きな場面です。
朱塗りの社殿が木々の緑に映えて、「来てよかった」と思わず声が出る。整然と並ぶ社殿の美しさは、写真で見るより実物の方がずっと印象的です。
毎月1日と15日には手水舎が「花手水」になって、色とりどりの花が水盤に浮かびます。この日に合わせて来るのもおすすめです。
山に囲まれた静けさ
南宮大社は南宮山の麓にあり、境内の背後に山が迫っています。その山の気配が、境内の空気を独特なものにしています。
境内をゆっくり歩くだけで、「街から来た」という感覚がどこかに消えていく。木々に囲まれた静けさの中に、大きな朱塗りの社殿がある——このコントラストが、南宮大社らしい魅力だと思います。
百連鳥居と瓦塚

南門から出て西へ向かうと、南宮稲荷神社への参道があります。百連鳥居が続く参道で、木が生い茂る中を鳥居をくぐりながら歩く道は、本殿周辺とはまた違う、薄暗くて厳かな雰囲気があります。
途中の「瓦塚」も見逃せないスポット。社殿に使われてきた古い瓦が積み上げられた供養塔です。役目を終えた瓦を丁寧に祀るという発想が、いかにも古い神社らしくて好きです。
境内の椿も見どころのひとつで、本殿周辺には白い花をつける「白玉椿」がご神木として大切にされています。3月中旬から咲き始め、いつもと違う華やかさを楽しめます。
毛利秀元陣所跡への山道を少し歩いてみた

南宮大社の裏手に、南宮山のハイキングコースへの入り口があります。
目的地は標高404mの展望台——毛利秀元が3万の兵を率いて陣を構えた場所です。関ヶ原の合戦好きとしては、「ここまで来たなら行ってみなければ」という気持ちになるのは当然のことでした。
入り口には動物の侵入防止策の扉があり(出入り後は必ず鍵を閉める)、その先からつづら折りの山道が始まります。木々が頭上を覆い、丸太の階段が続いていく。
「山の中を歩いている」という感覚が、じわじわと高まっていきます。
思った以上に本格的だった
「気楽に登れるハイキングコース」と紹介されることもあるようですが、正直に言います。
しっかりした登山コースです。
丸太階段がひたすら続いて、斜面の傾斜もなかなかのもの。展望台まで片道1時間という行程は、歩きやすい靴と十分な水分、そして体力を準備してから臨む必要があります。
「ちょっと行ってみようか」という軽い気持ちで入ると、途中で「しまった」となる可能性が高い道です。
無理せず途中で引き返したけれど……
わたしは途中で引き返しました。
装備も心の準備も十分でなかったし、無理して展望台まで行く必要もないと判断しました。
でも…山道に入った数分間、木々に囲まれた静けさの中を歩いて、「ここで毛利秀元は何を考えていたのか」と想像するだけで、十分に来た甲斐があると感じられたからです。
50代からの歴史散歩は、「登り切ること」が目的ではなく、山の空気を感じ、歴史に思いを馳せる時間があれば、それで十分。無理して体を痛めてしまったら、次の歴史散歩に行けなくなる。
ちゃんと登りたい方は、歩きやすいトレッキングシューズと十分な水を準備して。展望台からは金華山や濃尾平野を見渡せる絶景が待っています。
南宮大社の所要時間と歩きやすさ

- 境内だけゆっくり参拝するなら、30分ほど
- 南宮稲荷神社の百連鳥居まで含めて歩くなら、1時間ほど
- 山道を少し歩いて雰囲気だけ味わうなら、プラス30分ほど
- 展望台(毛利秀元陣所跡)まで往復するなら、プラス2時間以上(しっかりした準備が必要)
境内は平坦で歩きやすく、50代でも問題なく散策できます。南宮稲荷神社への参道も、緩やかな山道なので無理なく歩けます。
山道は、装備と体力に自信がある方のみ。スニーカーより、底のしっかりしたトレッキングシューズがおすすめです。
住所:岐阜県不破郡垂井町宮代1734-1
参拝可能時間:夏期(4/16~10/14) 5:00~18:00
冬期(10/15~4/15) 6:00~17:30 ※日没の時間で変更有
南宮大社のアクセスと駐車場
電車の場合
JR東海道本線「垂井駅」下車、南へ徒歩約15分。新幹線の高架をくぐり、高さ21mの大鳥居をまっすぐ進むと到着します(この大鳥居は新幹線の車窓からも見えます)。
平日なら垂井町巡回バスも利用できます。
車の場合
名神高速「関ヶ原IC」から東へ約15分、「養老SAスマートIC」から北へ約10分。楼門北側に参拝者用無料駐車場あり。
南宮大社まとめ
南宮大社は、「登り切る場所」というより、関ヶ原の空気を感じながら歩く場所でした。
朱塗りの社殿の美しさ、山の静けさ、そして背後の山に残る毛利秀元の陣所跡——
「関ヶ原で焼かれ、徳川によって再建された神社」という歴史の重なりを感じながら歩くだけで、来た甲斐があると思えます。
山道を途中で引き返したことに、後悔はありません。それよりも、木々の中を少し歩いて「ここに陣を構えたのか」と想像した時間の方が、ずっと印象に残っています。
関ヶ原周辺を旅するなら、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
>>南宮大社の口コミや周辺の宿泊施設の情報を【楽天たびノート】で確認する※情報が変更されている場合もありますので、公式サイトなどで最新情報をご確認くださいね。
