この記事では、三河湾に浮かぶ佐久島を日帰りで楽しむためのモデルコースをご紹介します。
周囲わずか11.5km、人口300人ほどのこの島は、アートと自然が織りなす癒しの空間として、近年注目を集めています。
インスタ映えするアートスポットや、島の名物グルメ、そして地元の方々との触れ合いなど、佐久島の魅力をお伝えします。
写真スポットではステキなポーズでキメて、佐久島を楽しんで下さいね。
佐久島東港エリアの観光スポット
佐久島は西港、東港とあり、どちらの港でも乗船、下船できます。ぐるっと一回りするもよし、下船した港と反対の港から乗船してもよし、船の時間に合わせて島内を散策しましょう。
高速船で先に到着する西港で下船される方が多いので、東港まで行くと比較的混雑なしに自転車を借りることができますよ。
今回は、東港からスタートして西港で帰る、おすすめのモデルコースをご紹介します。まずは自転車で最南東にある筒島(つつしま)へ向かいましょう。
島内は信号もなく狭い道が多いので、集落内と舗装されていない山道は徒歩でまわるようにしてくださいね。
佐久島の秘密基地アポロ
東港から南東に向かうと、「民宿さざなみ」の先に駐輪場があります。自転車を停めて、平子古墳群が広がるエリアを歩いていきましょう。
駐輪場近くの木にはブランコがあります。ちょっとした童心に返れるスポットです。
木のトンネルを抜けると、月面着陸したアポロ11号をイメージして作られた「佐久島の秘密基地/アポロ」が現れます。
細い階段を上がると、小さな部屋があり、海に向かって細長く開いた空間から渥美半島を眺めることができます。天井の穴から頭を出して外を眺めるのも楽しいですよ。
佐久島弁財天と兜岩
秘密基地からさらに南へ進むと、堤防でつながる筒島(つつしま)に到着します。ここにある佐久島弁財天社は、三河三弁天の1つとして知られています。
三河三弁天とは、佐久島弁財天、蒲郡竹島弁天、豊川三明寺弁天のことです。巳年のときは本開帳、亥年の時は合開帳と、6年に1度の開帳時には多くの参拝客で賑わいます。
弁財天社では、「願い石」という幸せを呼ぶ風習があります。
本殿のお賽銭箱に300円を納めて、横に置いてある木箱から石を1つ取り出します。その石に叶えたい願いをマジックで記入したあと、本殿にお参りして願い事を念じ、本殿の右側にある石塚へ奉納します。
社殿の右側には、武田信玄にまつわる伝説を持つ「兜岩(かぶといわ)」があります。三河の地にまで信玄が来ていたとは驚きですね。
この島には、戦いに敗れた武田軍の武士が隠れ住んでいたという言い伝えも残っています。
その武士は弁財天像の玉眼があまりにキレイだったので、くりぬこうとしたら弁天さんの目から血が噴き出し、あわてて「お許しください!」と必死に願ったけれど血が止まらず、彼は急に苦しくなってそのまま亡くなってしまったんだとか。
弁天様の右目には泣いたような筋が今でも残っているそうですよ。
弁財天社の御朱印は毎年8月16日に行われる弁財天祭の日の午前中のみ、授かることができます。祭りの日には弁財天本殿手前にある「宇賀神祠」のご神体(顔は人間で体は白蛇)を見ることができます。
本殿の奥にある鳥居をくぐって左へ進むと「奥の院」と「大黒天が祀られた祠」があります。
正念寺の海神さま
東港を出て、「島の駅さくしま」の角を北に行くと駐輪場があります。自転車を停めて、その先の「正念寺(しょうねんじ)」へ。縁側に頭に魚をのせた釣りの神さま「海神さま」が座っています。
アート作品なんだけどお寺に祀られた神さまみたい、威厳があるけれどどこか愛らしい海神さまは、思わず手を合わせたくなるような存在感です。
「佐久島のお庭」や「佐久島クラインガルテン」の入り口でも、海神さまの分身に会うことができますよ。
佐久島のイーストハウスと大島
東港から大島に渡る桟橋の途中にある「イーストハウス」は、佐久島を代表するインスタ映えスポット。
全長約60mの白いボックス状の建物で、海と空の青とのコントラストが美しく、絶好の撮影ポイントとなっています。
イーストハウスは人気の撮影スポットのため、混雑することがあります。ゆっくり撮影したい方は、早朝か夕方がおすすめです。
階段を上がって屋上に座ったり、四角い箱の中から海を眺めたり、思い思いのポーズで写真を撮る人たち。海と空の青と白いイーストハウスのコントラストが、とーってもステキなんですよね。
イーストハウスはどの時間帯も写真を撮る人たちが順番待ちをしている、大人気撮影スポットです。
大島に渡ると、「佐久島のお庭」という不思議な空間が広がります。
島民が使っていたお皿を埋めたモザイクタイルの小径や、佐久島を表す4連の山(標高2m50cm)など、佐久島の魅力がギュッと凝縮されたような場所です。
ミニサイズの佐久島の前には、枕木のサークルで表現された佐久島の湾があり、山から続く小径は大きな海神さまの頭に続いています。
山の前には佐久島の浜で拾い集めて積み上げた石の上に、不思議な世界から飛んできたブロンズの弁天鳥が、なんとも言えない表情で空を見つめています。
佐久島のお庭内は自転車の乗り入れが禁止されているので、歩いて散策してくださいね。
佐久島名物!大あさり丼でランチ
ランチタイムにおすすめは、佐久島グルメ:三河湾で獲れた新鮮な魚介類です。ここで、佐久島の名物グルメ「大あさり丼」をご紹介します。
おすすめ:大あさり丼、エビ天丼
旬の時期:3月~6月(特に大あさりは春から初夏がベスト)
大あさり丼は、三河湾で獲れる「ウチムラサキ」という大型の二枚貝を使った、佐久島でしか味わえない特別な一品。
肉厚の貝をかつ丼のように揚げて卵とじにした丼ぶりで、島を訪れた方なら必ず食べたいメニューの1つです。
※大あさりはあさりが大きく育ったものではなく、まったく別モノの2枚貝。貝殻の内側が紫色なので「ウチムラサキ」と名前がついているんですが、知名度の低さで「大あさり」と呼ばれています。
おすすめのお店は、東港から徒歩約3分の「食堂ゆきや」。店頭に大あさりのいけすがあり、新鮮な食材を使用していることが一目でわかります。
貝長10cmほどの、ぷっくりと膨らんだ大きなあさり(ウチムラサキ)を見ることができますよ。
大あさり丼は、プリプリとした食感とあっさりとした味わいが特徴です。トロトロの卵との相性も抜群!
サイドメニューのゆでタコもおすすめです。自分でハサミを使って食べるスタイルも、旅の思い出になること間違いなしです。
他にも、新鮮な魚介類を使ったメニューや、島の野菜を使ったカフェランチなど、佐久島ならではの味覚を楽しめるお店がたくさんあります。
ぜひ、島の空気と一緒においしいランチを満喫してくださいね。
住所:西尾市一色町佐久島中屋敷50
電話番号:0563-79-1020
営業時間:11:00~15:00
定休日:水曜日+不定休
佐久島西港エリアの観光スポット
お腹を満たしたら、いよいよ西港エリアの観光に出発です!
カモメの駐車場とクラインガルテン
東港と西港を結ぶフラワーロードの途中、大浦海水浴場の北側に「カモメの駐車場」があります。
風見鶏のようにカモメたちが風向きに合わせて向きを変える様子は、思わず笑顔になってしまうほどかわいらしさ。
遠くから見たら本物のカモメが混ざっていてもわかんないくらいです。
カモメの駐車場は足場が悪いので、歩く際は十分注意しましょう。
西の集落に入る手前にある「クラインガルテンのウェルカムスペース」には、モザイクタイルの山型看板とその脇に海神さまが顔をのぞかせています。
「クラインガルテン」は宿泊滞在型の農業体験施設があり、1年単位で家と菜園を借りて生活することができます。のんびりとした島の暮らしを体験できる、素敵な場所ですね。
西港の佐久島歓迎の看板
西港の船場に到着したら、ぜひ注目していただきたいのが顔出し看板「佐久島歓迎 地福開円満」です。
海神さまの頭によじ登るタコや、大きな鯛を持つ観音さま、そして佐久島名物の大あさり丼とえび丼を持つ佐久島地蔵が並んでいます。
顔出し看板は裏側から顔を外すことができ、自分の顔をはめて写真を撮ることができます。鯛を持つ手の部分には穴が開いているので、自分の手で鯛を持っているような写真も撮れますよ。
島のあちこちに置かれている「佐久島地蔵」は、とっても小さなお地蔵さん。どれも目を閉じて掌を上に向けている姿で、みな弁財天社がある筒島の方向を向いています。
佐久島地蔵はお地蔵さまなんだけど、おっさんの人魚みたいに見えちゃうんですよね…。
佐久島弁天サロンと黒壁の集落
西港近くにある「弁天サロン」は、古い民家を修復した観光案内所です。アートの場所を確認したり、ちょっと一休みするのに最適なスポットです。
弁天サロンの周辺には、黒壁の民家が立ち並ぶ独特の景観が広がっています。この黒壁は、塩害を防ぐために塗られたコールタールで、佐久島固有の景観を作り出しています。
まるで時間が止まったかのような、懐かしさを感じる景色に出会えますよ。
集落の中には、築100年の古民家を改装して家全体がアート作品となった「大葉邸」があります。
・見学には弁天サロンでの予約が必要
・カギを借りて自由に見学、終了後は施錠して返却
・弁天サロン休館日は見学不可
・大葉邸の「緑の庭」は予約なしで見学可能
丸い石を敷き詰めた独特の庭園は、佐久島の自然とアートが融合した素敵なスポットです。
開館時間:9:00~17:00
電話番号:0563-78-2001
定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始 ※7・8月は無休
佐久島のおひるねハウス
大葉邸前の駐輪場に自転車を停めて南へ歩いていくと、石垣(しがけ)海岸に到着します。ここにある「おひるねハウス」は、佐久島を代表するアート作品の1つです。
黒い四角い空間が並ぶ「おひるねハウス」は、東港にある白い「イーストハウス」と対照的な印象を与えます。はしごが付いた黒い箱の中で、自由な姿勢でのんびりと海を眺めることができるんです。
・腹ばいに寝転んだり、壁にもたれかけたりして自由なポーズで写真撮影
・波の音と風の音を聞きながら、目の前の景色を独占できる贅沢な空間
・土日の午後は混雑するので、平日や早朝がおすすめ
・雨ざらしのオブジェなので、汚れてもいい服装で楽しみましょう
三河湾の青い海と空、遠くに見える島々の風景を眺めていると、日常の喧騒を忘れてしまいそうですね。
ゆっくりとした時間の流れを感じながら、心身ともにリフレッシュできる特別な場所なんですが…、土日の午後になると写真撮影待ちの行列ができるほど。なかなかゆっくりお昼寝とはいきません。
佐久島の大和屋観音
西集落の奥にある津島神社の参道入り口に、ユニークな「大和屋観音」が祀られています。
この観音さまは、かつて島にあった雑貨屋「大和屋」のショーウィンドウにありましたが、取り壊されてしまったため、現在はここに飾られています。
大和屋観音の特徴は、なんといってもそのユニークな顔立ち。少し宇宙人のような表情をしていて、思わず顔を近づけてじっくり見てしまいます。
・ユニークな表情に注目
・頭の突起の先に描かれた8つの喜怒哀楽の表情を探してみよう
・佐久島の子どもたちを見守る存在として親しまれている
大和屋観音は、佐久島の歴史とアートが融合した象徴的な存在。アートなんだけど神さまみたい、島の人たちに愛され、見守られています。
佐久島アート・ピクニック:スタンプラリーを楽しもう
佐久島の魅力は、島全体がアートの舞台。1996年頃から「島おこし」の一環として始まったアートプロジェクトは、年々規模を拡大し、今では島中に素敵な作品が点在しています。
そんな佐久島のアートを楽しむ方法の一つが「佐久島アート・ピクニック」のスタンプラリーです。
・2008年の開始時は15個のスタンプ
・2022年現在は24個のスタンプに増加
・アート作品のそばや作品紹介の看板にスタンプを設置
・全てのスタンプを集めると達成感満点!
・スタンプ23、24は一色船渡場前の「佐久島ナビステーション」にあるので要注意
スタンプラリーを楽しみながら島を巡ると、思わぬ発見や素敵な景色に出会えるかもしれません。佐久島の魅力を隅々まで探索することができます。
また、佐久島には「佐久島弘法めぐり」というスタンプラリーもあります。かつて島にあった88か所の小さな弘法さまの祠を復活させたもので、現在は19か所のスタンプが設置されています。
・島の歴史と信仰に触れられる貴重な体験
・のんびりとしたペースで島の隅々まで巡れる
・かわいいデザインのスタンプが魅力的
・地元の方々との触れ合いのきっかけにも
さらに、冒険心をくすぐる「昼間の星めぐり」という散策コースもあります。
詳細地図や看板、スタンプはないものの、ヒントを手がかりに8つの小さな星の作品を探す、宝探しのような楽しみ方ができます。
佐久島にはいろんな楽しみ方があり、行くたびに新しい発見があります。アートを楽しみながら、島の自然や歴史を満喫してくださいね。
快適な島旅のためのトイレ情報
長時間の観光でも安心して楽しめるよう、佐久島の公衆トイレ情報をお伝えします。島内には7か所の公衆トイレがあります。
- 西港
- 佐久島弁天サロン
- 山の神塚古墳の北側
- 大浦海水浴場(カモメの駐車場の南側)
- クラインガルテン管理棟(バーベキュー場)
- 東港
- 大島
・佐久島にはコンビニやスーパーがありません。
・弁天サロンでは授乳やおむつ替えが可能ですが、給湯器はありません。
・薬局もないので、必要なものは事前に準備しましょう。
佐久島観光の注意点とおすすめの過ごし方
1.天候チェック:
船の運航状況は天候に左右されます。事前に天気予報をチェックし、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
2.歩きやすい服装
島内は起伏があり、未舗装の道もあります。歩きやすい靴と動きやすい服装で出かけましょう。
3.日よけ対策
島内は日陰が少ない場所もあります。帽子や日傘、日焼け止めをお忘れなく。
4.水分補給
特に夏場は暑くなります。十分な水分を持参しましょう。
5.ゆとりのあるプラン
島の魅力を十分に楽しむには、ゆったりとしたペースで回ることをおすすめします。1日かけてゆっくり観光するのが理想的です。
6.地元の方との交流
佐久島の魅力は、美しい自然やアートだけでなく、温かい地元の方々との触れ合いにもあります。笑顔で挨拶を交わしながら、島の雰囲気を楽しんでください。
※情報が変更されている場合もありますので、公式サイトなどで最新情報をご確認くださいね。
さいごに
佐久島は、アートと自然が織りなす特別な空間です。日常を忘れ、ゆったりとした時間の中で、時には迷子になりながら、点在するアートをめぐる旅を楽しむことができます。
とっても疲れるけど、でもとっても癒されて、また来たくなる、そんな魅力に出会えるはずです。
佐久島の散策をぜひ楽しんで下さいね。
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