この記事では、愛知県日進市にある岩崎城の歴史や見どころについてご紹介します。
岩崎城は小さなお城なんですが、長久手の戦いで徳川家康を勝利に導いた、知られざる武勇伝の舞台なんです。
岩崎城の戦いはあまり知られていませんが、長久手の戦いで家康に勝利をもたらす結果となった戦いです。16歳の武将の武勇伝の舞台を訪ねてみてくださいね。
岩崎城の概要:想像で再現された戦国の城
岩崎城は、昭和62年(1987年)に建設された模擬天守。「模擬天守」とは、「こんなお城があったんじゃないかな」と想像で建てられた天守閣のことです。
実は、岩崎城に関する詳細な資料はほとんど残っていません。そのため、歴史的な事実と想像を組み合わせて、現在の姿に再現されました。
岩崎城は、戦国時代から江戸時代初期にかけて、とっても重要な役割を果たしたんですが、関ケ原の合戦後、廃城に。
その後、なんと300年以上もの間、竹藪や雑林に覆われたまま放置されていたんです。
かつて戦国武将たちが激しい戦いを繰り広げた城が、そのまま放置されていたなんて、ちょっと驚きですね。
岩崎城に注目が集まったのは、昭和60年(1985年)から始まった発掘調査でした。この調査によって、城の構造や当時の生活の痕跡が少しずつ明らかになっていきました。
そして、調査結果を基に、現在の岩崎城が建設。歴史の眠りから目覚めた岩崎城は、今や地域の重要な文化財・観光スポットとして多くの人々を魅了しています。
岩崎城の歴史:戦国の激動を見つめた城
岩崎城の古い記録では、室町時代末期にまで遡ります。正確な築城年代は不明ですが、当初は織田信秀(織田信長の父)の支城として使われていたようです。
まだ若かった織田信長が、この城を見上げていたかもしれないって思うと、ちょっとワクワクしちゃいますね。
1529年、松平清康(徳川家康の祖父)が岩崎城を攻め落としたんですが、1535年に暗殺。
そして、織田家と松平家の勢力が及ばなくなった隙を突いて、本郷城に住んでいた丹羽氏清が岩崎城を占拠。その後、丹羽家は4代にわたってこの城を居城としました。
まさに戦国時代の典型的な城の争奪戦が、ここ岩崎城でも繰り広げられていたんですね。
岩崎城の戦い
1582年、天下統一を目指す豊臣秀吉と、織田信雄・徳川家康連合軍との戦いが勃発します。
この時、岩崎城城主の丹羽氏次(にわうじつぐ)は、城を16歳の弟・氏重(うじしげ)に任せて、家康方として小牧へ向かいました。
そのころ、秀吉軍は、家康が小牧城にいる隙に岡崎城を奇襲しようと進軍していました。その途中にある岩崎城は、素通りする予定だったのです。
しかし、若き城主・氏重はそれを良しとしませんでした。「敵軍を見過ごすのは末代までの恥」と、決死の覚悟で秀吉軍に攻撃を仕掛けたのです。
16歳の少年が下した、この勇敢な決断。それにより、戦況が大きく変わったのです。
激戦の結末
氏重の率いる岩崎城軍は、秀吉軍の池田恒興(いけだつねおき)軍と激しく戦います。そして、氏重軍は池田軍を撃退し、進軍を食い止めることに成功したのです。
しかし、戦いはここで終わりませんでした。氏重は城外に出て奮戦しますが、後続の森長可(もりながよし)軍の銃撃により討ち死にしてしまいます。
結局、岩崎城は落城し、氏重と約300人の守備兵全員が命を落としました。
わずか16歳で、家のため、主君のために命を投げ出した氏重。きっと、戦いに出るときは体中が恐怖で震えていたんじゃないかなって思います。
岩崎城の戦いから長久手の戦いへ
岩崎城の戦いは、その後の長久手の戦いに大きな影響を与えました。岩崎城を攻めている間に、丹羽氏次(氏重の兄)が率いる徳川軍が追いつき、秀吉軍の後方を襲ったのです。
この予想外の展開により、長久手で決戦となりました。結果、秀吉方の池田恒興、森長可ら有力武将が戦死し、徳川軍が勝利を収めます。
岩崎城の16歳の少年の決断が、戦国の歴史を大きく動かしたのです。歴史って、本当に面白いですね。
岩崎城の入場料と御城印情報
岩崎城の入場は無料
岩崎城と岩崎城歴史記念館はともに入場無料です。
発掘調査では瓦は見つかっておらず、お城は木造平屋建てで屋根は板葺き、またはカヤ葺きのようなものと考えられています。きっと、現在の岩崎城とは全然違う姿だったんでしょう。
でもでも、現在の岩崎城は違和感なく風景に溶け込んでいて、岩崎の戦いと、一生懸命に生きた武士たちを伝える役目を果たしています。
岩崎城の御城印
無事に岩崎城の御城印GET😆✨ pic.twitter.com/1ov1OpOw7O
— わた🏯@御城印 (@wataoshiro) August 12, 2024
最近、城巡りの楽しみの一つとして人気の「御城印」。岩崎城では2種類の御城印が用意されています。
- 岩崎城登城記念
- にわさきくん会遇記念(岩崎城のマスコットキャラクター「にわさきくん」出陣日限定)
これらの御城印は、岩崎城歴史記念館の事務所受付で頒布されています。歴史記念館では、岩崎城グッズ(タオルヤトートバッグ、オリガミサムライなど)も販売されています。
住所:日進市岩崎町市場67
電話番号:0561-73-8825
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日(祝日は開館)、年末年始(12/28~1/4)、資料調整日
観覧・駐車場:無料
岩崎城の見どころ5つ
岩崎城の見どころを5つご紹介します。
岩崎城(模擬天守)
昭和62年に完成した岩崎城は3層4階建ての模擬天守。入場は無料で、靴を脱いで上がります。
- 1階:威風堂々とした甲冑が展示
- 2階:日進市の年中行事についての展示
- 3階:岩崎城の遺構についての解説
- 4階:回廊
- 5階:展望室
最上階まで上がると、日進市を見下ろす展望スペースになっています。ここからの眺めは格別ですよ。愛・地球博公園(ジブリパーク)周辺も見ることができます。
安全のために金網で囲まれているのが少し残念ですが、小さなお子様連れの方には安心ですね。
岩崎城歴史記念館
岩崎城に隣接する歴史記念館の1階は常設展示室、岩崎城の歴史だけでなく、日進市内で発見された古墳や古窯についても学ぶことができます。
特におすすめなのが、岩崎城の戦いを再現したジオラマです。当時の戦いの様子が、まるで目の前で繰り広げられているかのように感じられますよ。
2階は多目的ホールになっていて、イベントや特別展示、歴史講座が開かれることがあります。運が良ければ、面白い企画に出会えるかもしれません。
館内は撮影禁止なので注意してくださいね。
岩崎城の遺構:隅櫓跡と井戸跡
岩崎城の南側には、実際の城の遺構を見ることができます。「隅櫓(すみやぐら)跡」と呼ばれる場所では、1間(約181cm)間隔で5つずつ並んだ礎石が発見されています。
これは岩崎城築城初期のものだそうです。現在は復元されたものを見ることができます。
その近くには、直径2.4mの素堀りの井戸跡も見つかっています。また、曲輪(くるわ)や空堀、土塁跡も残されています。
これらの遺構から、岩崎城が小さいながらも立派な城としての機能を備えていたことがわかります。
遺構を見ると、当時の人々の生活など、歴史的な雰囲気を感じることができます。
水琴窟
岩崎城の二の丸庭園横には、「水琴窟(すいきんくつ)」という面白い仕掛けがあります。水をすくって手前の白い石にかけると、水滴の音が琴の音色のように聞こえるんです。
仕組みは、釣鐘状のカメの底に穴をあけ、穴を上にしてカメの口を塞ぎ、地中に埋めたものです。そこに水が落ちると、水滴がカメの中で反響して美しい音が聞こえてくるんです。
左右の白い石に水をかけると、それぞれ違った音が楽しめます。音を聞くための竹筒も設置されていますが、「蜂に注意」の張り紙が気になりますよね。
ちなみに、蜂が攻撃的になる時期は主に7月~9月頃です。この時期に訪れる際は、特に蜂に注意しながら水琴窟の音色を楽しんでくださいね。
岩崎古墳
岩崎城発掘調査の時に偶然土塁の下から見つかった、円墳です。5世紀から6世紀ころに作られたもので、埴輪や土器も発見されています。
規模は大きくありませんが、公園内に横穴式石室が復元されています。
かつての豪族の古墳があった場所の横に岩崎城が建てられていたって、なんだかちょっと不思議な気もします。
岩崎城へのアクセスと駐車場情報
岩崎城へのアクセス・駐車場をご紹介します。
公共交通機関での行き方
岩崎城へバスや電車で行くにはちょっと不便です。
- 名古屋市営地下鉄鶴舞線/名鉄豊田線「赤池駅」からのアクセス
- 日進市内巡回バス「くるりんばす」に乗車
- 「市役所」で下車し、岩崎線に乗り換え
- 「御岳口(おんたけぐち)」バス停で下車
- 名鉄豊田線「日進駅」からのアクセス
- 日進市内巡回バス「くるりんばす」に乗車
- 「市役所」で岩崎線に乗り換え
- 「御岳口」バス停で下車
- 名古屋市営地下鉄東山線「星ヶ丘駅」からのアクセス
- 名鉄バス「長久手車庫」または「五色園」行きに乗車(約20分)
- 「岩崎おんたけ口」バス停で下車
くるりんバスの料金は1乗車200円です。土日祝日は便数が少なくなるので、帰りのバスの時間をしっかり確認しておいてくださいね。
車での行き方と駐車場情報
車で訪れる場合は、以下の方法でアクセスできます。
- 県道57号線(瀬戸大府東海線)を走行
- 「岩崎城北」の交差点から南に向かう
- 岩崎城の看板がある道を左折
無料駐車場は、道沿いに約20台分のスペースが用意されています。週末や祝日は混雑する可能性がありますが、そんなに長く待つことはなく駐車できます。
※情報が変更されている場合もありますので、公式サイトなどで最新情報をご確認くださいね。
岩崎城を120%楽しむコツ
岩崎城観光の所要時間は、45分~1時間くらいです。
季節ごとの楽しみ方
岩崎城は四季折々の表情を見せてくれます。
- 春:桜の季節には城を背景に美しい桜が楽しめます。
- 夏:緑豊かな木々に囲まれた城の姿が清々しい印象。
- 秋:紅葉シーズンには城と色づいた木々のコントラストが美しい。
- 冬:雪化粧した城は幻想的な雰囲気を醸し出します。
それぞれの季節で違った魅力を感じられます。
写真撮影のポイント
岩崎城で素敵な思い出の写真を撮るなら、以下のポイントがおすすめです。
- 城の全景:少し離れた場所から城全体を収める
- 隅櫓跡:復元された遺構と現代の城を一緒に撮影
- 最上階からの眺望:日進市の街並みをバックに
- 水琴窟:風情ある庭園の雰囲気を捉える
ただし、岩崎城歴史記念館内は撮影禁止なので注意してくださいね。
長久手古戦場公園もおすすめ
岩崎城を訪れた際は、岩崎城から車で約15分の場所にある長久手古戦場公園もおすすめです。
小牧・長久手の戦いの舞台となった長久手古戦場公園には、戦いの様子を再現したジオラマや、当時の武具の展示などがあり、岩崎城の戦いの結末を知るのにぴったりの場所ですよ。
さいごに
岩崎城は、16歳の少年の勇気ある決断が、戦国の歴史を大きく動かした戦いがあった場所です。
入場無料で気軽に訪れることができ、周辺には愛・地球博公園(ジブリパーク)やトヨタ博物館など、他の観光スポットもあるので、週末のお出かけにもぴったりです。
ぜひ足を延ばして、岩崎城も訪れてみてくださいね。
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