1584年に始まった「小牧長久手の戦い」、合戦の跡地は長久手(ながくて)市のあちこちに残されています。
主戦場跡地の「古戦場公園」と家康が軍議を開いた「色金山歴史公園」は、緑に囲まれた静かな散策道が作られていて、史跡巡りを楽しむ方たちがみえました。
この記事では、小牧長久手の戦いの勝敗を見つめた色金山と、周辺のゆかりの地についてご紹介します。
この戦いで常に優位に立って勝利をおさめた家康でしたが、結果的には秀吉が家康を傘下に入れて、信長の後継者として政権を確立させます。歴史って、知れば知るほど面白いですね。
家康が軍議を開いた色金山

小牧長久手の戦いは、織田信長が討たれた2年後に勃発した、羽柴秀吉対織田信雄&徳川家康連合軍の戦いです。
秀吉方が「家康が小牧城にいる間に、家康の岡崎城を奪ってしまおう」という作戦を企てます。
けれどのその作戦は家康方に漏れていて、家康は小牧にいた兵を動かし、秀吉方の軍を追って進軍しました。
家康は長久手にある色金山(いろがねやま)に陣を張り、山頂にあった石を床机代わりに腰かけて、軍議を開きました。
家康軍は秀吉軍の先発隊(池田恒興(いけだつねおき)と森長可(もりながよし)の軍)を後続軍と分断し、壊滅させます。
後続にいた羽柴秀次(はしばひでつぐ:のちの2代目関白)は、岡崎城の襲撃を提案し、別動隊の総大将になるものの、徳川軍の奇襲に遭い、命からがら脱出しています。
戦いにキャリアのない秀次が、秀吉にいいとこ見せようと頑張ったけど、結局は足を引っ張って、秀吉軍の武将たちをたくさん討死にさせちゃったんですね。
大敗を喫した秀吉軍は戦力が半減、大きな痛手を被ったのでした。
現在、色金山は歴史公園として整備されています。展望テラスからは長久手市内が一望できます。ここで家康も同じように四方を見渡して、策を練ったんですね。
そして、この戦いを制して秀吉を失脚させたら、自分が天下を制することができるかもしれない、というひそかな夢を思い描いていたのかもしれません。

公園の中腹には長久手の合戦の慰霊碑だけでなく、日清戦争、日露戦争で命を落とした方たちの慰霊碑、大東亜戦争終結40年の慰霊碑などが並んでいます。
徳川方の武将・伴盛兼(ばんもりかね:信長の家臣でのちに家康に仕え、長久手の戦いで戦死)の墓碑もありました。
公園内は桜やもみじが植えられていて、桜や紅葉の季節にはまた違った風景が楽しめそうです。家康が馬に水を飲ませたという「馬泉水」も作られていました。
公園の駐車場近くには、国宝茶室「如庵(じょあん)」を模した茶室「胡牀庵(こしょうあん)」があり、250円(税込)で抹茶とお菓子がいただけます。
住所:長久手市岩作色金37-1
茶室:9:30~16:00(抹茶サービスは15:30まで)
茶室定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
駐車場:あり(普通車55台)
安昌寺と首塚

色金山の麓に首塚があります。安昌寺の雲山和尚が長久手の合戦の戦死者を集めて、手厚く祀った塚です。
毎年合戦のあった日には花が手向けられ、法要が営まれていたそうで、江戸時代には尾張藩士の姿も見られたそうです。
ちょっと細い一方通行の道沿いで、駐車スペースがないので気を付けてくださいね。

首塚から県道57号線を挟んだ北側に安昌寺(あんしょうじ)があります。山門前には大きな薄墨桜がありました。樹齢30年ほどなんだとか。
桜の季節にはきっとたくさんの人の目を引き付ける桜なんでしょうね。

山門の正面には本堂、左手に観音堂があります。観音堂には平安時代の木造十一面観音坐像が祀られていて、100年に一度開帳されます。次回は2080年…110歳超えていますが、見れるでしょうか( ´艸`)。
安昌寺には尾張藩士をはじめ多くの藩士が訪れ、合戦の書付を残しています。うわばみ(大蛇)の伝説の絵馬などの美術品も伝わっています。
住所:長久手市岩作色金92
首塚
住所:長久手市岩作元門42
家康が戦勝祈願した教圓寺

色金山で軍議を開いた家康は、秀吉方の様子をうかがいながら、御旗山(みはたやま)へ進軍しました。
その途中、旧岩作街道沿いにある教圓寺(きょうえんじ)のご本尊、阿弥陀如来に戦勝祈願をしたと言われています。その時に家康が寄進したと伝わる葵の紋付陣羽織が残されています。
江戸時代には寺子屋が置かれていたこともあり、境内には筆塚も残されています。現在はお隣が「さつき幼稚園」になっています。
住所:長久手市岩作東島103
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さいごに
小牧長久手の戦いの勝敗を見つめた色金山と、周辺のゆかりの地(首塚、安昌寺、教圓寺)についてお伝えしました。
長久手の戦いの合戦跡地を巡るなら、色金山歴史公園と古戦場公園を起点にして徒歩、またはレンタサイクルでまわるのがおすすめです。
色金山歴史公園と古戦場公園は約2Kmです。古戦場公園から東に1.2Km行くと「トヨタ博物館」がありますよ。
長久手合戦史跡巡りをぜひ楽しんでみてくださいね。あ、でも、暗くなるとちょっと怖いから、明るいうちに巡ってくださいね。
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